来週25日の3か月予報を待つまでもなく、本年2月の暖候期予報のとおり今夏も酷暑豪雨の日が多いようだ。今や日本列島の殆どが亜・亜熱帯(亜熱帯に近似した気候)なのだから、この数年来お決まりとなった過酷甚だしい気象をあたりまえとして受け容れるほうが分かりいい。
コロナ禍と戦争の最悪事態の中、さらに天災と名の付くような激甚自然災害に見舞われるのはご容赦願いたいと誰しもがただただ祈るような気持だと思う。
春先から目白押し状態となっている諸品の値上げだが、夏場にかけても更なる品目が控えているようだ。
ウクライナ情勢次第で今以上に悪化する(上げ幅が大きくなる)可能性もあるし、戦況によっては想定よりも穏やかに抑えられるかもしれぬ――たとえば穀物供給の不安定化による飼料相場の高騰だ。つまり高くなった家畜の餌代が食肉価格にそのまま転嫁されること必至であり、最後は小売り単価が上がるという因果となる。
そのあたりの動きに敏感に反応したのはインドで、早々に穀物類の輸出を原則停止するという保護経済政策に舵を切った。現在の世界情勢下で政治的に微妙な位置にあるインドとしては、外交や貿易の接点を最小化することは至極当然であるし、世界第二の膨張人口を食わすためにも自給率の維持は不可避なのだろう。
のような月並みな評論は脇にやって、なんでもかんでも自給率の低いわが国はどのように対処するのかという点に議論の的は絞られてしかりである。
諸々の分析や予測の先に結論として導かれる項目のひとつは、我われが属する物流業界での荷動きや業務単価などの変動だ。物価上昇にスライドして値上げが叶えばよいが、荷主からすれば物流費はコスト抑制の大柱のひとつであるのだから、ことは簡単にゆかぬ。
自社物流にしても同様の社内マインドが今まで以上に強まるので、重ねてのコスト抑制通達が発せられるに違いない。
こうなると、建前上の政策的な物価上昇→企業業績の維持→人件費への利益還元、というチャートに矛盾が生じる。事業会社の業績維持と昇給確保は物流会社をはじめとする委託先企業へのコスト抑制に直結するし、自社物流なら部門間の利益相反が明白となる。営業部門の利益死守には物流部門のコスト圧縮が必須となるはずだが、物流コスト圧縮の最大要素は人件費だ。特に自社物件での業務であれば、なおさらのことである。
この背反実態をいかに捌くかが経営課題となる。
物価上昇は「家計費がいっそうかさむ」ことであり、光熱費や食費の上昇分を国が推進している「昇給」でまかなえなければ、景気はより冷え込む。いわゆるスタグフレーションとなり、その造語が言い表すとおりの閉塞停滞の状況となる。国内全体のスタグフレーションと個別企業内の部門間格差が招く特定部門内スタグフレーションが顕在化するのかもしれない。
日本国が経済縮小し、国力が衰えてもよいのか?という批判や異論はあるだろうが、現実には国としての成長期はとっくに終わっている。たくさん稼いでたくさん遣うというサイクルを、すでに盛りを過ぎた老成国に適用すること自体に無理があるのではないだろうか。
国内生活に限って言えば、蓄えた社会資本の活用・利用と堅実な消費による「分を弁えた」歩みを心がけるべきだ。
欲しなければ足りるという言葉を自分自身と向き合い納得できる者は、可処分所得の縮小を可処分時間の拡大によって埋めわせる術を見出せるだろうし、心の健やかさを失わない暮らし方を継続できると考えている。
不肖ワタクシも実践しているつもりだ、、、もといっ、実践しようと努力している。
では物流業界はどうすればよいのか。
なんとなく浮かんでいるイメージは「おっとりのんびりゆっくり」のような言葉が添えられるものだ。
それにはまず第一に、、、
ここからは有料となります。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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