今年の最低賃金目安が妥結した。
当初の予想通り全国加重平均で31円増の961円に落ち着いたが、過去最大の上げ幅とはいえ「まだまだ抑え気味」の感は否めない。コロナ禍による足踏みがなければすでに1000円近くまで上昇していたはず、、、という内心のつぶやきが脳裏に巡るからだ。
何度となく書いているが、個配便の取扱件数はあと数年でピークとなるだろう。単純に需要が頭打ちするだけでなく、ガリバーたるヤマト運輸が廉価契約の排除を強化するに違いなく、追随する佐川急便も同じ動きとなるからだ。JPに関しては個配事業自体の見直しや譲渡も含めて市場参加者としての存続自体を疑っている。
来週25日の3か月予報を待つまでもなく、本年2月の暖候期予報のとおり今夏も酷暑豪雨の日が多いようだ。今や日本列島の殆どが亜・亜熱帯(亜熱帯に近似した気候)なのだから、この数年来お決まりとなった過酷甚だしい気象をあたりまえとして受け容れるほうが分かりいい。
コロナ禍と戦争の最悪事態の中、さらに天災と名の付くような激甚自然災害に見舞われるのはご容赦願いたいと誰しもがただただ祈るような気持だと思う。
戦争と疫災によって、世界中に閉塞感を伴う不安が漂っている。
まさに降って湧いたような災いの最中にあって、わが国の物流業界は縮小基調とも闘いながら利益確保に尽力せざる得ない。そんな中で欠片のような明るい兆しを模索する毎日なのだが、何をもって希望や未来を謳うべきかを考えるなら、まずは「満足の中身」を再定義する必要があるという結論に行き着く。
今年以降も労働力不足と非正規雇用人員(もういいかげんこの表現はなんとかならんもんか)の時間給上昇は続くだろう。
特にEC事業者の物流現場もしくは類似形態の倉庫内労働者の募集単価は全国的に上昇を続けており、毎年上がる最低賃金の底上げ作用もあいまって、この5年ほどで2割程度上積みされたというのが実感だ。
「梱包作法は激変する」という確信の始まりは、自分自身の日常生活でのとある場面での些細な気付きにすぎなかった。
漠然とした最初の予感ののち、折に触れてその思いは強まっていった。
レジ袋の有料化が実施された頃には、個配場面を想定した掲題の言葉をハッキリと意識するようになっていた。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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