「梱包作法は激変する」という確信は、日常生活での些細な気付きがきっかけだった。
漠然とした最初の予感ののち、折に触れてその思いは強まっていった。
レジ袋の有料化が実施された頃には、個配場面を想定した掲題の言葉をハッキリと意識するようになっていた。
私の場合、日常の買い物を済ませる店への脚は自動車であることが常だ。6年ほど前までは、スーパーマーケットで支払いを済ませ、カゴからレジ袋にせっせと商品を詰めて帰路につき、帰宅後すぐにレジ袋から冷蔵庫や保管棚に品物を移す、という作業を毎度行っていた。生来とことん不器用で無精ゆえにそれが嫌で嫌で仕方なかった。
車か自転車か徒歩かの違いこそあれ、読者諸氏やそのご家族も同様の行動を行っていたのではなかろうか。あくまで「レジ袋有料化以前は」という断り書き付きであるにしてもだ。
エコバッグなどの自前袋を持参する消費者が圧倒的多数になるまでは、スーパーマーケットから出てくる買い物客の手には、もれなくレジ袋が提げられていた。
上記のとおりの買い物行動に嫌気がさしていた私は、2016年の年初にショッピングバスケットを購入し、買い物の際には常に店内カゴの下に重ねて買いまわるようになった。
なぜそうするようになったのか?始めた当時、レジ袋は無料だったにもかかわらずだ。
従来のスーパーマーケットでの買い物行動は、入用な品を売場でピッキングして、レジ決済後に全部袋詰め。車を運転して帰宅後、つい先ほど袋詰めしたばかりの購入品を全部取り出して収納。つまり売り場での梱包と自宅での開梱は、売場の買い物カゴをそのまま自宅に持ち帰ることができるなら不要になる・・・
ならば、バーコードスキャン後にレジ係の方が要領良くかつ美しく購入品を納める「清算済品用カゴ」を自前にすれば、そのまま車で持ち帰ることができるし、レジ袋は不要だ。
という面倒くさがりで無精者の思惑が、偶然にも時流に適って、結果としてマイバッグ・マイバスケットが当たり前の当世に先駆ける結果となった。
そして、「販売者と運送会社と購買者の連携次第では、使い捨ての梱包資材が不要にできるかもしれない」「オリコンやスタッキングできるカゴでピッキングから受領までを完結できるなら、口数減らしや梱包サイズの極小化のための涙ぐましい創意工夫や熟練度の要求も軽減するのでは」と思うようになっていった。
さらには宅配を筆頭とする個配にこだわらなけらば、出荷・配送・受領に不可欠な個包が必須ではなくなるはず。
たとえばBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)をはじめとする能動的受領行動では、「買い物品のプライベート・アソート」が完成した状態で受領し、持ち帰ることができる。
個人使用の通いカゴを店舗側で認める、もしくは有償支給か貸与できれば完璧だ。
最終受領の態様についての議論へと発展させるべき内容を雑に書き散らかして恐縮だが、丁寧に整理して体裁を揃えるのは別稿か他誌への寄稿に譲りたい。
館内物流や施設内配達などでは当然の動向だろうし、メルカリを皮切りに、多くのECでも採用されるのではないかと思う。
「省資源・省作業で省コスト」
合理的この上ないことは間違いないのだから、受領方法の柔軟対応が拡がれば、最善・最適・最安の選択肢となる可能性大である。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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