生産技術や業務品質管理の稚拙を「入数をごまかしている」といった粉飾行為と決めつけている発注者や荷受者は多い。
物流現場からの視点で言えば、「悪意をもって数を減らしている」や「わざと不良品を混ぜて数合わせしている」は極めて少ないのではないかと思う。
悪意でやっていることなら正せばよいのだが、悪意なく本気で精一杯やっているにもかかわらず、、、がほとんどだと思っている。
年金依存では老後が心もとないというのが多数派であるなら、不安を埋め合わせる方策を労使双方で考え準備しておく必要がある。
キャッシュアウトしている項目をあたらめてみれば、内製可能な業務が必ずある。私の関与先では物流拠点の整備や清掃および社内便の運送業務を定年退職者に委ねる動きを数年前から始めたのだが、今や「それがあたりまえ」となりつつある。
個配分野での宅配についての標準化もしくは定石として「置き配が基本」となるような気がしてならない。
たとえば、コロナ禍収束の後にも非対面受領の需要は拡大を続けている。つまり在宅していても置き配で受領したいという傾向が強まるばかりなのだ。受領のためにわざわざ手を止めてでも玄関口で手渡ししてもらいたいモノ以外は、置き配完了の報せを受信したら、あまり間を開けずに荷物を取り込めばよい。着荷直後や少しの時間差であれば、盗難などの心配も軽減する。
こんなハナシを書くのも、ひとえに気象変動による庫内稼働時間の見直しを、長きにわたりずーっと考察し提唱しているからなのだ。
関与先とも数多のシミュレーションを行い、生産性との折り合いを細かく検証し続けているが、たどり着いた結論のひとつに「社会規範と行動様式の変化」が挙げられている。
今後の物流機能に必要な言葉は「適宜」や「適時」に尽きる。
その大前提となるのは、現在から近々までの顧客要望の推移を「正確に把握・分析・検証・予測・精度向上」というサイクルに取り込んでズレを防止する最適化手順の徹底である。
サービスの抑揚や改廃を決定するにあたって、勘や根拠なき予感は厳禁。
「誤出荷や在庫差異は絶対悪」への過度な傾倒やゼロ乞食病は得てしてWMS依存と同居している。WMSを不可欠なモノとする意識自体が不健全なのだということに気付くべきだ。
関与先やその手のセミナーでよくするハナシなのだが「物流機能は潔癖で透明で澱みも濁りもミスも許されない」などという理屈自体が異常であるし、そんな会社は滑稽で奇妙。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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