3か月ほど前に発表された「ヤマト、メール便配達を日本郵便に移管 ネコポスも」の記事。
上記ニュースを目にした時に漏れ出た独り言は「いつか来た道ではないのか」だった。
同じような思いを抱いた業界人は多いかもしれない。
私に限らず、脳裏に浮かんだ寄る辺なさは「日通、宅配便から撤退 統合計画が破談」という14年前の出来事に由来しているのだと思う。
またもや3連休、という読者の方も多かったであろう前週。
今年のカレンダーを見返してみれば、1月・5月・8月・12月以外で3連休や狭間の平日に有給取得すれば4連休となったケースが6月を除くすべての月である。残る10月と11月も同様だ。
国策として連休を増やしているのは承知している。しかしながら新卒時にはまだ隔週週休2日があたりまえだった最後の昭和世代としては隔世の感を禁じえない。
毎度の持論で恐縮だが、日本の労働スタイルは米国ではなく欧州諸国を参考にするべきだと思っている。なかでも蘭独については、物流技術先進国の地位に在って久しく、同時に働きかたの創意工夫もまた先進的だ。労使間の程よい妥協が絶妙な全体最適化の前提条件となっているだけでなく、労働価値を業務以外の生活時間と連動させて測定している点が秀逸である。
そもそも物流業務に特別な素質や才能など要らぬ。
求められるのは、あたりまえのことをあたりまえではないほどにやり続ける気力と執念と鈍感さだ。優れた物流人とは「偉大なる平凡」を尊び忘れぬ者をさす。
たとえ能力が高く明晰であっても、平凡な営みを粛々と続けることを怠ったり、蔑ろにしたりすれば、物流現場は必ずその報いをその人にもたらす。
全国どこでも同じような悲鳴であふれかえっているが、ガソリン代をはじめとする車両関連費の高騰は右肩上がり状態が続いている。しかも動きの水平化は未だ見通しが立たず、冬タイヤ装着の必要な地域では、交換費用なども重くのしかかる。物流コストへの転嫁は待ったなしで行われるべきだし、それに躊躇する事業者は商売替えか廃業の行く末となってしまう。
掲題の各語に続く言葉は、「――やっても〝至らぬ〟という思いがいつも居残る」である。
主語は「〇〇研修」だったり、「〇〇養成」や「〇〇技検」と多少の違いはあれど、関与先の誰かに何かを教えたり習得してもらうという点では同じだと思っている。
話した時間ややり取りの回数を数えたことはないが、長い時間の蓄積をほぐしてつぶさに見返せば、その中には忘れられない出来事や人物が少なからず存在している。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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