企業内にはさまざまな業務がある。
一般的な区分けとは別に、その企業固有の ‘ ルール ’ や ‘ コード ’ が存在する。
競争や駆け引きの中では白か黒かという区分や明瞭さを善とできないこともある。
不透明さや視えにくさは、時として必要な選択肢になるのだろう。
しかし、あらゆる企業で物流と経理だけは装飾や折合があってはならない部門だ。
他部門のように一定の不可欠な「灰色」の存在は、経理と物流には禁忌。
業態という言葉を無意識に口に出してしまう。
しかし物流の業務設計や実務やOJTではまったく意識しなくなっている。
玄人ならアタリマエのことだが。
物流の根幹にある「理由」は消費に他ならない。
消費動向が全てを決定する。
物流関連の業界紙や専門誌、専門書の類をほとんど読まない。
その理由に全く悪意はないし偏見もない。
ただ単に「ピンとこない」からだ。
自身が関わってきた荷主企業との遣り取りの根本や本質に合致する内容が非常に少ない。
「実感を持って読めないから」が理由。
企業内の物流部門は名実ともに川下に置かれ、その立場はとても弱い。
というケースばかりではない。
社内的には専横と陰口を叩かれるほど、自部門至上主義を貫いていたりする。
「ここだけの話です」と小声で首を傾げる仕入や営業部門の担当者の顔が何人も浮かぶ。
‘ 建前としては完全内製 ’ の自社物流では珍しくない現象だ。
一般事業会社に多いが、物流部門を営業本部にぶら下げたり商品本部に置く組織構成がある。営業本部パターンはキーが「顧客」、商品本部なら「商品」になる。
忌憚なく申し上げれば、どちらもお薦めしない。
モノを扱う業界ではOEMやPBによる商品調達はごくごく普通の手法となっている。
なのになぜ物流部門では自社設計による規格の業務を委託するという明確な区分けが存在しないのだろうか?
外部委託にあたっては自社の詳細な要望を伝え、それに応じた提案がなされる。
しかし、委託側が伝えている内容は往々にして答のみであったり対処であったりする。
咳が出て辛いから薬をくれと要望し、相手は相応の処方をする。
症状が治まって楽になれば「なぜ咳が出たのか」は考えなくなる。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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