なんだか知らんが「温かい」をすっ飛ばして、いきなり「暑い」を連発した今週だった。
特に水曜日は各地で夏日だったとか。暑気に弱いワタクシとしては憂うつこの上なかった。
やっと桜が咲き始めようかという時候に、夏日で暑苦しくなってどうするのじゃ!
と毒づいても空しいだけだが、愚痴のひとつも言いたくなってしまう。
今まで何度となく質問を受けてきた項目に「適正人員の算出方法」がある。
その方法論を今さら書き連ねる必要もないと思うので割愛するが、新入社員や物流未経験の異動者向け研修やらで再確認する方々もいるかもしれぬので、関連するハナシをしておく。
ここで問題なのは「適正」という胡散臭い文字だ。
特に人員数算出の始まりとなる前提条件とその過程についての検証がゆるかったり甘かったり、逆に締めすぎていたり厳しすぎたりすることが多い。
いわゆる「甘くもなく辛くもなく好い加減」となっている試算根拠を設けている事業者は思いのほか少ないというのが実態であるような気がしてならない。
でなければ拙者ごときに「自社の物流コストの客観的評価を願う」といった依頼などくるはずがないし、手前味噌を「美味いはず」と信じてはいるものの、やはり他人に食わせて反応を見てみたいという心理も理解できる。
特に物流管理者にとって悩ましいのは「物流人員数算出に際しての根拠が適正か否か」ではないだろうか。
要は、その前提条件に基づいて試算を進めて妥当なのか?という自問に対する答えが自身で断言するに心もとないという自信と不安がまじりあった感情についてもよくわかる。
ワタクシのようなひねくれ者には「適正」という言葉は極めて怪しく疑わしい響きとして耳に居残る。ひねくれているのは生来だが、仕事にまでひねくれ根性を持ち込むようになったには訳があるのだ。それは前提条件の設定が不合理で不透明な事例を多く見てきたからだと思う。
特に多いのは「粛々と淡々と着々と業務を消化するべし。作業効率の不安定要素や乱調は忌避すべきの第一である」のような正論である。しかし「おそれながら、、」と、それを唱えている管理者やエライ方の瞬間湯沸かし器的な乱高下するご気性や、行方や行動内容の不明さといったら、、、のような逆ねじをくらわしてはならない。
日本人は「ウサギとカメ」のイソップ寓話が好きだが、そのハナシもどうかと思うこと数知れずだ。そもそもウサギから「お前はノロマなのじゃ」と馬鹿にされたからといって、すぐに頭に血が上り、あげくの果てに駆けっこの勝負を挑むカメの短気さは「自身の資質をすっ飛ばして、無理な勝負を挑むところからしてダメなのでは」と思うのは私だけなのか。
イソップのオチに向けてのご都合ハナシだからこそ、とってつけたようにアホで不遜なウサギは昼寝してくれたものの、現実にはそうはゆかぬ。
勤勉や堅実の貴さを描くなら、他のたとえ話でも用は足りると思う次第だが、このハナシがお好きな方々やひねくれていない素直な皆様の気に障ったならお詫びしておく。
このハナシを想うとき、ワタクシは「カメも休むだろうが」と毎度呟く次第だ。
現実のカメは一日のうちかなりの時間をじっとして動かぬし、ウサギも似たようなものだ。
両者がせっせと動き回るのは、メシの時間と繁殖の時期に限られている。
飯でも交尾でもないのにいそいそと動き回っているのは人間ぐらいのもんである。なので皆で思い切って、、、というようなハナシを書きたかったわけはない。
事の核心から激しく離れてしまったように読み取れるかもしれぬが、実は適正根拠に最も欠落しがちな要素のヒントにはなっていると思う。
部門や拠点に新しいメンバーが加わる今の時期。
新旧人員交えてお考えいただくのも一興かと思う次第だ。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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