長く仕事をしていると、まさしく奇遇ともいえる機会や巡り合わせに見舞われることがある。
というような書き出しで始めたくなるようなことがあった。それは下記の過去稿に関連するイベント出席の依頼をいただいたことだ。
そもそもの予定が変更となり、ぽっかりと空いていた月日だったことも幸いだった。
ちなみに関連する掲載稿は、以下のとおり。
そして来週出席するイベントとは、下記に。
そもそも天井高の有効活用は、今に始まったハナシではない。
各社各現場それぞれに「保管効率」と「荷役効率」の均衡点を模索してきたはずだ。
つまり高積みするのはよいが、荷役の妨げや不効率につながるのであれば、総合的にマイナスとなる可能性が否めない。ゆえに親子ロケや季節波動やシーズンの裏表などを勘案。さらには荷姿の別で積み付けや保管の形態を取捨選択してきた、というのも各社それぞれに同じではないかと察する。
二段三段積まないで、平置きで一筆書き動線を確保することが作業の最大効率となる。
ただし必要床面積はかさみ、保管効率は最低となるが、決してゼイタクでも無駄でもない。
という判断をする現場管理者はプロと評してよい。もちろん毎度や万事というわけではない。
なぜならその管理者氏は「顧客」の利益――つまり営業的優先条件を念頭に置いて、業務フローと作業手順を設計していると思われるからだ。
物流現場の第一義は事業推進の下半身たることであり、上半身たる販売機能への最重要な寄与は、顧客満足の維持に他ならない。つまり許容範囲内という前提条件のもとに、優先順位のふりかたをいかにするかが肝要となる。すなわち「時間」「容量」「コスト」「品質」「精度」などの項目をいかに並べ替え続けるかは、現場の絶え間ない新陳代謝につながり、それは事業を支える各部位が過不足なく連動しているという証左にもなる。
物流人のひとりとしてあえて断言する。
物流現場が陥りがちなキリトリ型議論や理屈は無用である。
内向的で自己完結型な数値追求は、他部署にとっては関連性の実感がわかぬ独りよがりな行動にしか映らないことがままある。
荷主もしくは自社の顧客満足という大命題にかこつけての、数値の極大化や極少化追及をもって事業寄与するといった類の顕示は二の次でよい。「最大」や「最小」や「ゼロ」の達成や維持には往々にして身の丈に合わぬ過剰ともいえる無理や無駄が派生することなど誰もが心得ているはずだ。
何のために事業を行っているのかを考えれば、判断や行動は至極簡単に決定できる。
現場独善的な効率主義やコスト管理は幼稚で短絡に過ぎる。
現場は現場のために効率化したりコスト圧縮を図るのではない。すべては顧客のために行うのだから、そのしわ寄せが顧客に及ぶことは本末転倒の極みなのだ。
というような大前提の下で保管効率の向上を追求することは有意義であるし、何よりも倹約とモノの始末が同時に行えてタイヘンよろしい。
前述したとおり、事の核心は「保管と荷役の効率が均衡する点」を探し当てることである。
物流は引き算なので、折り合いをつけて多少の我慢や不足を甘受しなければならない。
くれぐれもキリトリ絵図で、完璧や最高を顕示するような愚は回避願いたい。
顧客という中点から伸びる各線の先にあるのが販売であり財務であり物流なのだ。
そのバランスが崩れたらどうなるのかは皆が承知している。
無理や突出は厳禁、と老婆心ながら書いておく。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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