物流よもやま話 Blog

庫内業務のイメージスクリーン

カテゴリ: 本質

久々の手前味噌だが、そこそこ「ウマイ」という自負もあるので、食わず嫌いなさらずにお読みいただければ幸いだ。
500件には足らないと思うが、少なからぬ実務事例から導いた手法なので、その効用には一定のエビデンスがあるということも付け加えておきたい。

拙サイトの「service」ページにあるとおり、一人の物流プロフェッショナルを養成するにあたっては、掲題のイメージスクリーンがきちんと描けるか否かにはじまる。
養成プログラム途中の技術編や数度のテストと修正の後、最後は完成した物流設計に基づく業務フローとOJT技法を映し込んで、完成形のイメージスクリーンが起承転結の断裂なく口述できれば修了となる。
現場の経験や座学による知識習得のすべてが有機的に管理者や担当者の血肉となるには、一定の期間とその中身の確認が不可欠となる。
実務ベースで有用かつ論理的な自己能力の到達度確認にはイメージスクリーンによる業務フロー口述が最適だ。
「あいうえお」や「ABC」や「九九」の暗唱と同様に、途中で詰まったりしなくなるまで反復し、間違えたりすれば即座に気付きを得られるところまで達していることが肝心であり、そこが目標到達点でもある。

精神論や概念論は不本意であるし、むしろ忌避している。
しかしながら、あらゆる業務において「違和感の有無」を意識することは、どの立場の誰であろうと必要ではないだろうか。
それはよく「勘」や「予感」や「むしのしらせ」などと混同されがちだが、実は全く正反対のものである。違和感を察知するセンサーは、反復練習や実務の積み重ねと合理化や改善実施によって培われる「技術」に他ならない。
専門知識や技能の根底を支えるセンサー的な要素と言い換えてもいい。

「よく気付きましたね」
「どうしてわかったんですか?」
「見過ごしていても不思議ないと思います」
などは、他者の感想や驚きや称賛の表現。

「なんかヘンだぞ」
「ん?ちょっとそれ・・・」
「どうしてあんなことをしているのか?」
「あれは何だろう?」
「こんなに早いのはおかしい」
「こんなに遅いのはおかしい」
「こんなにスムーズなはずはない」
などは上段のように、驚かれたり賞賛されている本人の心の声だ。

同じことは部署の会議中や報告を聴取している際にも起こる。
読者諸氏にもいくつかの心当たりがあるはずだ。
言葉を変えて挙げれば、
「つじつまが合わない」
「飛躍している」
「都合よすぎる」
「それは誰の意見なのか」
「真に受けていいのか」
「あまりにもお人よしが過ぎるのでは」
「信念と妄信は別物」
など、やはり多数の言葉が浮かぶ。

このような「ひっかかり」「違和感」「変調」などをとらえる知覚機能は何なのだろう?
人によっては「リズムが狂うような感覚」だったり「映像が途切れる」だったり「急に暗転して場面が変わっている」だったりする。
これらはすべて「イメージスクリーン」に類するものだと思うのだが、それを科学的・論理的に説明する術を持たない自身がうらめしい。

ためらいなく断言できることは、才能や特殊能力ではなく「技術」であることだ。
したがって誰でも習得できる。もちろん完成熟練までの所用時間に個人差はあるが、今まで脱落した習得希望者はいなかったことが証左である。
いつも言うことだが、「九九」や「あいうえお」や「アルファベット」の暗唱と同じように、自社の業務フローとその詳細な映像付きナレーションをできるようになるだけである。

「正しい現場」という無音状態のドキュメンタリー映像を起承転結切れ目なく自己再生でき、それにナレーションを付けること。
映像に異物や異常が現れればすぐに気付くだろうし、連続するべき場面の「つながりなき飛び」やルールと異なる内容の作業風景が出てくれば、一時停止させて検分する。
イメージスクリーンとはそういう中身なのだとご理解いただきたい。
その効果については想像以上。
まずは試食してくださいませ。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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