物流よもやま話 Blog

棚卸とステイツと沈黙の艦隊

カテゴリ: 本質

またもや新年度である。
ということは昨年度末直後なので、多くの倉庫が棚卸作業を終えたばかり。今頃は後処理のあれやこれやに追われているのではないだろうか。
業種によっては恒常的に在庫差異の発生があるのだが、物流現場的には「数量差異」、財務的には「原価差異」を主眼に在庫差異を追い、修正や調整を行うのである。

国税的には一にも二にも「在庫金額」に焦点を当てて調査するので、企業内では物流部門と財務や経企部門では興味の対象が大きく異なる。
つまり決算利益を左右する期末在庫金額の着地点が目論見や予想と乖離すれば、決算予測がぶれてしまう。すなわち経営能力に直結する評価となること必至であり、そこを恣意的にいじれば「利益操作≒脱税行為」という嫌疑をかけられかねない。なので棚卸データの確定作業は非常にデリケートなのである――あくまで「会社と株主によっては」であるけれども。

決算のハナシで気になるのは、USAの関税措置――一昨日ついに税率が発表された。まずは“本気なのだよ”という示威行為とも思える数値だった。当然ながら株価急落・円高急進となり、拙稿予測通りに事が運ばれている。
読者諸氏ご承知のとおり、基幹産業が高関税による輸出障壁によって業績を落とせば、その取引先たる部品メーカーなどにもしわが寄る。つまりサプライチェーン全体の売上減と同じ。
結果的には日本経済にマイナス要因となってしまう。

さらには米国経済が“因果応報・因果具時”たるインフレ進行を抑えるため金利据え置きか引き締めてくれるならよいが、第一次トランプ政権時のようにドル安円高基調へと舵を切り、それが常態化するようになれば、当然ながら輸出品の利潤は単純に為替変動分が減少する。
1$=150円が135円になれば、その瞬間に予定利益は一割減となる――製造原価は変わらずか上昇するばかりなので、粗利が消えるのではなく純利が消えてしまうのだ。

米国内において、関税転嫁による輸入品の値上げが及ぼす物価高とドル安誘導は背反するものだというのが教科書的一般論であるならば、モンダイは米国内での購買意欲次第である。
「割増関税で25%値上げした日本車であっても、やっぱり買おう」
と米国民が行動してくれるならば、貿易収支は従前のまま・円安基調も大きくは変わらず、という現状維持が叶うのだが、それはあまりにも楽観が過ぎるというものなのだろうか、、、

テレビニュースに映る米国の各都市のいずれでもトヨタをはじめとする日本車が圧倒的に目立つわけだが、車種によっては25%値上がりしても買い続けてくれるのだろうか。

「400万の車が500万になる」
「まったく同じ車なのに、明日から100万円値上」

のような現実に見舞われた時、それでも買い続けてくれる現ユーザーの比率とはいかほどになるのだろうか。トラちゃんが言うように「日本車が高くなればアメ車が売れる」のか?
日本車や独車が高くなるなら、喜んで米国車を買う、、、ではないはず。と思うのは私見に過ぎないが、そうかといって「たぶん大丈夫」とは言い難い心境の今である。

ちなみにトランプ氏とその側近たちの発言を聴くたびに、何度も脳裏をよぎったのは「沈黙の艦隊」での米国大統領やそのマシーン(側近)、並びに海軍幹部の発する言葉だ。
軍事同盟国との関係や自国軍備強化や兵器輸出が自国にもたらす脅威について、不朽の名作と謳われて久しい長編漫画の中にあるいくつかのシーンとあまりにも似ているので、
「まっ、まさか、トラちゃんや側近はかわぐちかいじ先生のファンなのでは?」
と勘繰ること何度も。

ということは関税についてもネタ元があるのか、、、それが判れば先手が打てる。
専守防衛のまえに先手必勝になりますぞよ。
サブカル好きな総理殿。

いつもながらの門外にあるド素人発言ゆえ、読み流しのほどを。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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