コボットの改良と普及がすすめば、人間の仕事は減るいっぽう――現場ではほぼなくなるかもしれない――が現在の一般論だ。
総論に異を唱える者はいない。しかしその業務光景の中で働いている自分自身の姿を具体的に思い浮かべる者もほとんどいない。
そんな想像を働かせるほどの造詣は持ち合わせないし、自動化や協働ロボットのいる現場やバックオフィスでの働きかたなど考えたくない――が大多数の本音ではないのだろうか。
PLANET OF THE APES (猿の惑星)は全5作シリーズの第1作が1968年に封切られ、後続のSF映画に今もなお大きな影響を与え続ける偉大な名画だ。
その詳細な説明は蛇足にしかならないだろうから割愛しておく。
本稿を書き始めるにあたり最初に浮かんだのは、未来のとある惑星に不時着したテイラーが視た光景。さらには水先案内人の役割を担うジーラ博士とコーネリアスの戸惑いや猜疑。
そして最後の場面で明らかになる「本当のこと」だ。
Collaborativeと銘打たれたロボットの特性――その本質は協業を第一義としている。
実稼働の幾種かを少し知る程度でも、すでに秀逸な機能やさらなる拡張性を疑う気持は霧散してしまうだろう。
「今でもこんなにすごいのに、さらに開発が進んでゆけば・・・」と感嘆の声の先に言葉を継げないのは、私だけではなさそうだ。
物流業務に限ったことではないが、人間は同じまちがいを繰り返す。
いつの時代でも、「かつてない出来事」や「前代未聞の不祥事」「有史来の逆境」などと、大仰な言い回しで目の前の現象を表現するが、その大半は歴史や履歴や沿革などの不勉強や短絡な思い込みに過ぎない。
物流現場は標高ゼロの地点にある。
言い換えれば「間違いは常在しており、それが皆無となる世界など想像できない」となる――はあまりにも極論すぎるのだろうか?
われわれ物流屋は荷主企業が「ゼロ」を目指す道程の途中にあるどこかで業を営み、毎日それで食っている。
1994年にNEDO(現在の国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が企画し、広報・教材ビデオとして制作された『ドラえもん のび太と未来ノート』は、その主題をエネルギーから物流に代えてリメイクしても、今の時代に十分適用可能なコンテンツだと思える。
そうなると、のび太君とドラえもんの配役が気になるところだが、読者諸氏ならどう考えるのだろうか。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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