ゼロ環境という私造語をよく用いる。
机に向かって熟考の末にひねり出したわけではなく、提案書向けに作ったのでもなく、講演などの原稿に記したものでもない。
いつの間にか自身の中に根付いてしまった言葉で、私の物流観の基本となっている。
始業時と終業時の現場状態に違和感がないこと。
できればほぼ違いがわからないぐらいであること。
業務中に管理者が現場巡回したとき違和感がないこと。
つまり、管理者が想定している作業状況や進捗がなされていること。
どの会社でも出荷は気忙しい。
日によっては体も忙しい。
現場は火事場鉄火場修羅場になったりする。
そうならないように各社工夫努力を絶やさないが、決してゼロにはならない。
注文者への納品は最優先業務。
しかもその営業活動の仕上げ。
終わりよくなければ全てよくない。
大波の到来はどこの誰が受けても、時間や処理能力という制限がある限り、タイヘンな状況になる。追い込まれて苦しいし、ミスや未出荷の恐怖から現場管理者は切羽詰る。
まぁ、、、しかし、、、それはそれでいいのではないだろうか
物流コンサルの会社はたくさんある。
ペン(今はPCか)と口だけで勝負している会社もあれば、3PLであったり、倉庫会社がサービス拡張して、システム開発まで手がけていたり。
各社それぞれにメニューが凝っていて、「できる。デキル。出来る」「実績・信用・歴史」
などのような、誠意と熱意と規模と顧客羅列による連想訴求と商売してきた年月と。
見積提出の前に契約の内諾を頂いたことが何度かあった。
一般的には、ヒアリングおよび現場確認 → 業務提案と見積書提出 → 両社による内容確認 → 内容の修正 → 契約、となるのだが、稀にヒアリング時に遣り取りしていて、いきなり「お任せしたいと思っています」なんていうトップがいる。
良い現場と悪い現場の見分け方にはいくつかある。
防災面でも秀逸堅牢な建屋と各種認証システムによるセキュリティ。
センサーによるLED照明の点消や空調コントロール。
太陽光発電や災害停電時の自家発電設備。
被災時にも稼働する通信機能。
デジタル管理されたマテハン。
お金で買えるものを書き出したらたくさんある。
が、現場の良し悪しと設備のそれは必ずしも一致しない。
簡素で直線的な物流業務が理想であるし、そうでなければいけない。
ではその基になるものは何か?
商品マスターである。
マスターの設計と整備で全ては決まるといって過言ではない。
物流現場でのさまざまな現象は、あくまで結果であり、そこに原因はない。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
ご相談・ご質問等ございましたら、
お気軽にお問い合わせください。