物流よもやま話 Blog

ワールドカップと妄想雑感

カテゴリ: 余談

この原稿を書いている今は11月23日未明。
つまりサッカーワールドカップ・カタール大会で日本代表が初戦を迎える日である。
前回のロシア大会同様に、日本国内での報道や各媒体での特集は目白押し。テレビでは前々夜祭、前夜祭、当日朝の直前情報などと、カウントダウンさながらに盛り上がっている。
代表チームの戦績予想が賑やかだが、ふと「予想者の全員が〝コスタリカは全敗〟という前提のようだが、ものすごく失礼なのではないか」と眉間にしわが寄るワタクシなのだ。

ワールドカップに限らず、オリンピックなどの世界大会で日本代表が好成績を残したり、事前の予想を覆して善戦したり番狂わせ的勝利をあげたりすればタイヘン嬉しいし、そのゲームを観戦していれば高ぶって感動する。
しかしたまーにふと「スポーツではなく、物流技術の世界大会みたいなものがあったら、わが国はどのぐらいの成績を残せるのだろうか」と考えてしまうことがある。
サッカーのようにグループ分けしたら、日本が属するグループを「死の組」と評してくれるのだろうか。
「いやはやついてない。よりによって日本と同組になるなんて」
と嘆きの声が他国サポーターから漏れ聞こえてくる、、、とか。
・・・ま、まさか決勝リーグに残れない、、、なんてことはあり得ないと信じたいが、断言できるだけの根拠となる材料が手元にない。
同組の他国マスコミの予想記事を読んでみたら「日本は全敗」という前提で勝敗シミュレーションが作成されている、、、なんてこともないに決まっている。たぶん。

円安環境のこの数か月を振り返ると、新興国市場で勝負できる企業は、工場のみならず物流拠点も国外に設けるべきだと痛感した。
新しく巨大な国内の物流施設のディスカウント情報やオファーに惑わされることなく、投資対象の優先順位を「戦いの場に近い兵站拠点」に定めるべきだ。
それに際し、まずは国際基準の商品マスターを整備しておく必要がある。過去に何度も書いてきたとおり、最も簡易に導入できるのはJANコードであり、来るべきRFIDワールドでの拡張対応に易い。

物流ワールドカップという大会が開催されるとしたら、国際基準を満たす商品マスターの運用コードを備えていることは、エントリーに際しての最低条件となる。言い換えれば物流世界での共通言語ゆえに、日常会話に必須であるのだ。LMSに流し込む情報形式やマテハン連動に際してのコード要件なども、すべて共通言語化された国際基準コードが基礎条件として前提されている。
極論かもしれぬが、そのコードに過不足なければ、人間同士の言語疎通などは多少のチグハグがあっても、業務そのものには支障をきたさないはずだ。物流に言葉は要らぬ。誰もが理解できる規格記号と数字さえあれば、現場はどの国のどの倉庫でも動くし、車両は拠点間を走る。

という理屈を正論とするとき、はたしてわが国の事業会社や国内専業の物流事業者は、段差や足踏みすることなく現地物流網に合流できるのだろうか。
国によって違うことは数多いが、少なくとも一定レベルの物流業務に関しては国境や人種の区分は不要だ。言葉の違いもたいしたマイナス要素とはならない。業務外のコミュニケーションや潤滑油的な会話がもどかしいだけで、それはお互いに努力して隙間を埋めてゆけばよいだけのハナシだ。本来業務で連動できているという信頼関係があるのなら、そこから生まれる相手への敬意がその他あれこれの助けとなってくれる。
言語も文化も違う者同士が、競技という共通語で深く尊くつながりあうことはスポーツでは珍しくないはずだが、それはビジネス場面でも同じだと思う。競技を業務に置き換えるだけのハナシであって、物流では標準化されている国際基準のコード記号が共通語に該当するということだ。

国内業務専一だからといって、島国独自物流に甘んじないで欲しいと願う。
小さな物流倉庫の現場運用細則は、世界企業の巨大物流倉庫と極めて近似。
なんていうのが私的理想なのであります。

追記 現在11月24日早朝。日本の勝利に沸く国内。第2戦は手負の格下、、、油断大敵

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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