物流よもやま話 Blog

静止沈黙のゴールデンウィーク

カテゴリ: 余談

疫災の行方を憂いながらも、個人的にはのんびりと静かに過ごしたこの一週間だった。
しかしながら、たくさん原稿を書いて、余裕あるストックをもって明日からに備えたい、、、という当初の思惑はまったく叶わなかった。
本気でのんびりしてしまったことが理由なのだが、それはGWに限ったことではない。
つまり私には普通の大型連休だった、と納得するやらあきれるやらの今なのだ。

行楽や店舗施設の制限が夏季まで、いや、それ以降も続いた場合の不安と不明へのおそれが胸中でざわざわと音をたてて落ち着かぬ。
天災や大事故による物理的な損失や事後対処とまったく異質なのは、根本的防衛が不能な視えない脅威という点に尽きる。「失ってみないと被害の大きさや損失の重篤さが判明しない」のだから、日々の現象や事態の推移に一喜一憂する心情はやむを得ない。
メディアや公人までもがバタバタしたり感情的になったりはいただけないが、かたやで一生活者としての視点や情緒を抑えきれぬのも無理はないという気もする。それほどに「長い時間」のもたらす疲弊や閉塞感は重い。はっきりと自覚するようになってきた心身の消耗に、いらだちや焦燥を禁じえないのも立場を超えて万人に通じたことでもある。

このウイルスの最も厄介な点は、何の前ぶれや気配もなく、突然「罹患」の事実が発覚することではないだろうか。国籍人種性別を問わず、他者にも自分自身にも、だ。
得体のしれない無色透明の異物が往来に漂っている不気味さと共生せざるを得ない今。
そんな中でインドの惨状をニュースで見聞きするたびに、「どうやら防疫後進国であるらしい」と判明したわが国の明日を不安視するのは私だけではないと思う。

ITと医療体制(技術者と医療従事者は優秀である)については未熟で遅れたままであるのに、過去の技術立国の看板が邪魔して認識がずれているのだろう。
「そんなはずはない」という思い込みはいい加減に捨て去るべきだと痛烈に感じている。
他国の医療体制再編の迅速さや機能性と合理的水際対応を知れば、わが国の政府や医療体制の緊急対応力の低さが浮き彫りになって呆然とする。
それはこの10年でIT後進国に成り下がった事実と同じことだ。
欧米諸国からすれば「日本ともあろう国がなぜ現状のような体たらくなのだ」となるらしい。

種々さまざまな情報が飛び交う世間だが、要は「できる限り出歩かず、他者との接触は避けるように」という全世帯隔離病棟化が対処の具体であり、それしか施策として広報されているものはないとわかる。
ワクチン接種の順番待ちが解消するまでは、とにもかくにもステイホームということだ。
にわかに皆が遣いはじめた言葉である「エッセンシャルワーカー」の分類に属する物流現場を担う人々は、自宅待機・在宅勤務できない。
「マスクをしていても、屋外でも感染する」
という後付け甚だしいガイダンスを知っても、荷動きを止められない現場は多い。
ワクチンの優先接種ぐらいは迅速に行ってほしいと願うが、注射する側の頭数が不足しているのだとか。
筋肉注射の難易度を知らぬゆえスットコドッコイな発言かもしれないが、ロボットによるセンサー感知機能付き注射なんていうのは荒唐無稽なのだろうか。
機械化や自動化の優先順位を入れ替えてでもなんとかしてほしい。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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