物流よもやま話 Blog

ここはひとつ断捨離ってぇやつを

カテゴリ: 余談

この数週間ひたすらに家内清掃と物品整理に没頭している。
実は来週転居を控えており、その準備として荷物の処分をあれこれやっているのだ。
主として衣類と雑貨、それから食器と事務用品などをまさに取捨選択しているのだが、この作業が苦行ともいえるほど辛く優柔不断との闘いとなっている。

おそらくきっと他人様よりは衣装をはじめとする装身具の数が多い。
10年以上前から「どこかで思い切らなければ」と何度も決意のつぶやきを繰り返してきたが、その実いっこうに手を付けないまま今に至るという体たらくだった。
「転居まで残り一か月を切った」というゴールデンウィーク前になって、やっと仕分け作業に取り掛かったはいいが、その結果はほとんどが「これはまだ要るだろう」「いくらなんでもこれは惜しい」「けっこういい値段だったのに、ぜんぜん使っていないではないか」「これは一緒に戦ってきた同志のようなコート。とても捨てられない」「今年あたりはひょっとしたら着るかもしれない」「処分するにしても、もう一回ぐらいは着てから」
などのような「断捨離不適合者」の典型よろしく、いじいじグダグダぶつぶつの繰り返しとともに、時は過ぎてゆくばかりだった。

目をつぶり、感触がわからないように軍手をして、大型のビニール袋十数個にスーツやシャツやコート類、ネクタイや靴などをまとめて、町内会のリサイクル回収に寄付し終わったのは5月11日だった。ガラガラになったクローゼットを眺めながら「もう忘れましょう」という古い曲を無理やりハミングしながら、いくつかの負け惜しみや「未練などこれっぽっちもないわい」という未練がましい捨て台詞や、「やればできるじゃないか。あぁスッキリした」などとモヤモヤ気分のまま声に出したりして、今日に至っている。

倉庫屋のくせに身辺の荷物整理ができないのは大問題。
などと謙虚で真摯な性格ならば、もう少し切れ味よろしい仕事ぶりとなるに違いないが、残念ながら真逆であることは今さら確認不要である。
横着で無精で怠け者ゆえに思いつく「究極の簡易作業」「極限まで手数を減らした工数設計」「物流はひき算。いかに削るかかが勝負の分かれ目」といった仕事の成果物が、結果的には物流業務の普遍的な原則や理想と合致するということがよくある。
「あぁ面倒くさい」「なんとか楽できんもんか」「一番少なく働いて一番得るものが大きいやり方は?」といった性根からのぐーたら思考が、偶然の産物としか言いようのない奇遇をもって物流作法の常道と重なっているのだが、間違えても才能や能力と評価なさらないで欲しい。
と関与先の皆様にお願いしている次第であるし、読者諸氏にも同様のご理解を乞う。

ここまで書いてちょっと不安になっていることがひとつ。
それは来週と再来週のよもやま話の掲載原稿のストックがない、ということだ。
引越し作業に追われる来週。
新居での片付けや雑事に忙殺されそうな再来週。
その間も止まらぬ顧問先企業の各現場。
進捗するプロジェクト会議への出席。
媒体への掲載コラム入稿。

優先順位をつければよもやま話は最下位。
しかしながら休載ゼロぐらいはなんとか続けたい。
ここでも優柔不断との闘いがまた。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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