物流よもやま話 Blog

へっぽこ面接官の「あっ 気持ちが動いてる」

カテゴリ: 余談

なんやかんやあっても、やはり今頃になるとなんとなく春めいてくる。そしてイロイロ始まる気配があちこちで漂い、人によっては浮かれたり前向きになったりもする。
お天気が良いと、散歩しつつ思わず鼻歌など口遊んでみたり――昭和世代のワタクシは化粧品会社の春の新商品CMで流れた曲が「春のうた」として印象深く、さらには半年サイクルで巡る秋商戦に採用されたCMソングが「秋のうた」として記憶に残っている。
なんていうハナシが通じる読者はいったいどれぐらいいるのだろうか?

ちなみにワタクシ的春のうたは尾崎亜美の「 マイ・ピュア・レディ」であります。
まさに「あっ気持ちが動いてる」の歌詞そのままに、小林麻美という長脚美女にドキドキしながら「いいなぁ」と何度も心の中でつぶやいた思春期のワタクシ。大御所との電撃婚後はメディア露出がなくなったが、70歳の今でも美しいままなのにはおそれいる。むしろ歌手としての彼女のほうがわかりいいかもしれないが、カバー曲ながら「雨音はショパンの調べ」は大ヒットした。個人的には「哀しみのスパイ」という曲を推す。

というハナシはトコトンの余談でしかなく、まさにどーでもよい。
面接官のとしてのワタクシのエピソードトークをするのだ。

春めいてくると、桜が咲き、新年度が始まり新入社員が街往き、、、あたかも物語の始まる季節の訪れのような連想や期待感がどこともなく漂う。
春の新入社員については、大企業なら新卒者がメインかもしれないが中小零細はまだまだ中途採用の比率が高いままである。わが業界も中途採用求人への応募数は大幅に増加しているだけでなく、異業種異職種からの転職希望者が多く混じるようになった。取りこぼし無きよう採用し、即戦力化と要職を担う人材へと育成していただきたいと切に願う。

、、、というハナシも今回の趣旨ではない。

不肖ながらも採用面接においては最終決定する立場が長いワタクシである。
つまり最終面接に限らず、第一次面接や二次面接に立ち会うことも叶う立場、と言いかえてもよい。もっと前倒しすれば、書類選考から口をはさんでもよいという拡大解釈も可能だ。

中小企業の経営層なら誰しも同じ経験や苦悩めいた迷いがあると思うが、採用ほど難しいモノはない。そもそも人間が人間の中身や外見について見立てたり値踏みするような行為は、どこまで行っても濁りや誤魔化しや思い込みの混入を排除できない。さらには客観的に評価しようと画策している思考回路や手段自体が独善と偏向の極みであったりするので始末が悪い。

読者諸氏の多くが社内的には言いにくいかもしれぬので、不肖ワタクシが代弁するが、採用におけるエラーの主犯は高確率で経営層にいる。
大いなる偏りや拘りは経営者の本質であるし、失策自体が経営の本質なのだ!
と切捨ててしまえばハナシが続かないし、それで済ますわけにゆかぬは新戦力の採用なのだ。
なので経営トップ以下の経営層は、なんとか取りこぼしや見立て違いを回避できぬものかとあれやこれやと画策する。と、苦悩して考えている割には他人の意見を聴かぬのも経営層にありがちな傾向である。したがって「思いつき」「突飛でへんてこりん」な試行案がしばしば発表されることになる。そのたびに、怒らせぬよう・傷つけぬよう・投げ出さぬよう、細心の注意をもって本人が翻意するように、堀を埋めたり縄を締めたり首に鈴まで付けねばならない部下の面々はタイヘンである。

面接とは見合いのようなものだとたとえる人は多い。
お見合の経験がないワタクシには想像でしか合点することができないわけだが、なんとなくそうなのだろうなと感じている。もちろん見合いの釣書にあたる履歴書や職務経歴書に記された学歴や職歴に興味を向けぬわけではないが、極端に言えば、最初の3分ぐらいで結構な判定をしてしまう、、、ような気がしてならない。
親しい相手からは「だから毎度毎度がへっぽこ面接なのじゃ。ねるとんじゃあるまいし、〝第一印象から決めてました〟はアカンよ」とたしなめられること数知れず。
たしかに振り返れば、他の面接官から「絶対採ってはなりませぬよ」「いったいどこが適格なのか不明です」「職歴や実績の具体的な質問をちゃんしないのは論外です」などとタイヘン厳しい言葉を連発されることもあった。ホントにたくさんあったなぁ。

第一印象で「あっ 気持が動いてる」と感じて、「ぜひ一緒にやりましょう」と続けてしまいそうになるのは、たぶん自分自身が全部責任を取れると思い込んでいるからなのだ。
それこそ不遜で思い違いも甚だしいのだが、面接時には何かしらの「好感」を強く感じて、早く一緒に仕事をしようよ!みたいな青臭い感情に支配され倒しているに違いない。
つまり短絡単純に過ぎて、面接官としては不適格なのだ。
なのでかなり前から最終面接には絶対絡まないようにしてきた。むしろ書類選考と一次面接に力を注いで、、、と強く希望したが、それもすぐに却下されるようになり、やがては面接にはかかわらずともよいことになったのだった。

一応世間体もあるので、自ら面接という業務から完全撤退したことになっている。
たまらんなぁ。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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