なんだか急に暖かくなってしまった。ついこの前まで異常低温やら線状降雪帯のハナシばかりしていた気象庁だが、一か月予報ではちゃっかり「3月は高温傾向」と報じている。
延々と続く長い夏と変化激しい冬に圧されて、春と秋の領域は年々小さくなってゆく。
今年もゴールデンウィークあたりからいきなり夏季が始まり、そのまま半年近くダラダラと暑気が居座るのかと思うと憂鬱この上ないのだ。毎度書くが花粉も黄砂も要らん。
という気候なので、早々にタイヤを履き替えてきた。
普通車に限らず、業務用のトラックやバンなども一斉に交換時期の到来を感じているのか、ディーラーやカーショップは混みあい始めたようだ。
ご存じのとおり近年タイヤは軒並み値上がりし、工賃改訂も重なっての負担増は過酷だ。物流事業者にとっては厳しい環境この上ないが、そこに来年3月末をもって自動車運転業務に係る時間外労働の上限規制の猶予が終了となる。いわゆる2024年問題と謳われているドタバタ騒ぎなのだが、悲観論や破綻論ばかりが先行してしまい、対処するための具体策と必要な準備の説明が隅に追いやられてしまっている。
確かに労務順法厳密化によるコストアップは不可避であり、業界にとっては難所となることに違いないだろう。しかし他業種では720時間上限で事業を成り立たせなければならないのだから、960時間という業態優遇を前向きにとらえる事業者となっていただきたい。
と関与先企業には説き続けている次第だ。過去掲載でもキーワードを挙げて要点説明を何度も行ってきたのは読者諸氏ご周知のとおりである。
もし上限規制によって苦境に見舞われそうな事業者の方がいるなら、関連する拙著をご参照いただきたい。それで間に合わぬのなら問い合わせフォームからご相談ください。
「現在の30%強の荷物が届かなくなる」という類の文言にしても、記事掲題としてはセンセーショナルで目を惹くに違いないが、実際にはそんなことは起こらない。
労働時間の上限規制が適用される前に、運輸事業者や荷主は対策を講じるからだ。
手をこまねいて現状のまま時間の経過を呆然と過ごす者など実在しないことはあきらかだし、中長距離便の廉価庸車依存を改めるだけで事の根本は解決する。
要はコスト負担から逃げないか、最短時間競争から逃げるか、のハナシが事態の行方を左右することなど、すでに皆が判っているはずだ。
というハナシを書くつもりはマッタクなかった。
桃の節句にしては暖気の訪れが早く、白銀の日本海沿岸や山間のドライブコースを安全に走らせてくれた冬タイヤ君ともしばしのお別れとなる時期となった、、、というハナシをダラダラと書くつもりだったのだが、いつの間にかあまり楽しくない2024年問題のあれこれに立ち入ってしまった。
というふうに愚痴とも文句ともつかぬハナシを毎週毎度しているうちに、「えっ!もう端午の節句なのか」と書いている自分が思い浮かぶ。
その時には「すでに夏である」と憤慨しているに違いないこともきっと例年通りだろう。
「例年どおり」がありがたいと感じるようになった。
のは、進化なのか退化なのか、、、ひょっとして老化なのか。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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