物流よもやま話 Blog

本日出勤or夏季休暇

カテゴリ: 余談

東北地方の豪雨被害の続報と後続の台風情報が気になるが、現地の方々の避難状況や生活サポートは滞りなく実施されていることを願う。
先の南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」(そのような名称で報じることが、いつの間にか法制化されていたらしい)に続いての天災なので、盆休み期間中の行楽情報やらパリ五輪閉幕などのニュースをお気楽に聴き入る気にはなれない。

わが国の春季から秋季にかけての気象亜熱帯化は、ついに関東を越えて東北・北海道にまで及び始めた。台風や爆弾低気圧による暴風雨への経験少ないエリアでの物流網維持には、他地域の工夫や備えの数々が有効である。
現在進行形で自治体間の情報交換や人員派遣などの準備が進んでいると聞く。
天災の猛威には何物も抗えない。ゆえに避難とその備えを常日頃から整えておくことができることのすべてである。物流倉庫の災害時対応も地域なりの備えのひとつとして有効であることは、過去掲載でくどいほど書いたとおりである。備えあっても憂いが払しょくしきれない自然災害への対処ではあるが、各地の自治体と物流事業者の密な連携を願うばかりだ。

ところでこのハナシをお読みいただいている貴方は、本日出勤しているのだろうか。それとも夏季休暇中なのだろうか。ひょっとして先週10日から9連休中の7日目、だとか?
今夏は9連休という事業所が多いような気がするが、全体としてはそうでも個別対応で12日から本日までは注残消化のために交代出勤、としている倉庫現場もちらほらあるようだ。
EC稼働の事業者なら、連休明けの一斉出荷を嫌って、途中に山崩し的出荷処理を行うことが今までの多数派だった。しかしながら販売サイト上で「夏季休暇期間中のご注文については、20日以降に順次お届けとなります」と告知している事業者の数が年々増え続けているような気がする。正式な統計を語っているのではなく、あくまで個人的な感覚で書いているに過ぎない。

再三述べてきたとおり、ECやテレビ通販などで購入から受領まで多少時間がかかったとしても、圧倒的多数の顧客にとっては何の支障も実害もないはずだ。
「すぐ届いた」が「しばらくして届いた」「受け取りまで一週間ぐらいだった」という感想が漂うだけで、「翌日届かなかったからもう買わない」「受取に何日もかかるなんて許せない」なんていうレビューなどあったとしてもごく稀だろう。そのような批判にしても「実害」を聴きとってみたら、ひとえに「気持の問題」に行き着くことが多いはずだ。

「物流所要時間は現在よりも延長するべき」と常日頃から言い張ってきたワタクシだが、特にGW、夏季休暇、秋季連休、年末年始などの大型連休期間は「配送所要時間が長くなる」を社会標準にするよう行政主導・報道追従で推し進めるべきだと強く求める。
今現在を生きる日本人のなかで、一刻一日を争うほど物資に飢えて急を要する人が一体いかほどいるというのだろうか。急病や被災時を除いて、購買品が翌日や翌々日に受領できないことで生じる不都合や不利益とはいったい何なのかがワタクシには不明で不思議だ。
出荷スピードと到着所要時間を競争の具にしている事業者はまだ多数いるが、そのうち息切れしてビジネススキームを改めるか、ブレーキを踏めぬまま壁に激突して停止するかのいずれかになるだろう。物流において競うべきは品質。一定以下の低コスト短時間は競うべき品質の敵としかならない。本末転倒の競争意識は滅びの道でしかないと断じておく。

とかなんとか書いている机のある部屋から出たら、熱気あふれる酷暑の屋内。
たまーにそよぎ入ってくる風は、誇張なしでドライヤーの熱風のよう。
そりゃ世の中のやる気も生産性も落ちるわな。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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