現場の働き手たちが不得手・不本意を押し殺すあまり、本来の得手や本意が陰り衰えてゆくのは現場の損につながるのだが、それに気付かぬ管理者は多い。
あきらめるほど頑張ったのか?を自問するのは管理層だけで十分である。
実作業を担う現場職たちは苦手なことからは素早く逃げて、得意なことだけを懸命に行っていればよい。各人の特性によって生じる業務分担の凹凸を均す作業は管理者の仕事だ。
どこの現場でも必ずいるのは、メシの後に日陰でヒルネするスタッフだ――かくいうワタクシも外昼寝は大好きである。往々にして一時間ぐらいグッスリしてしまうのがダメダメなのだが。
20分ほどの短い午睡は心身に良いそうだし、なんといっても心地よい風がそよぐヤードなどの片隅でのひと時は、物流現場ならではの楽しみでもある。
出荷スピードと到着所要時間を競争の具にしている事業者はまだ多数いるが、そのうち息切れしてビジネススキームを改めるか、ブレーキを踏めぬまま壁に激突して停止するかのいずれかになるだろう。物流において競うべきは品質。一定以下の低コスト短時間は競うべき品質の敵としかならない。本末転倒の競争意識は滅びの道でしかないと断じておく。
この数年で仕事用の距離計測にはレーザーメジャーが主役となってしまったので、いわゆる“巻き尺”の出番はすっかり減ってしまった。
自宅用は頂き物の工具セットに含まれていた3mぐらいの小型メジャーで事足りていたのだが、「より長いタイプも備えておかなきゃなぁ」と思い始めて幾年月。
物流機能を下に置く偏見や無知には抗議反論するにしても、従来の見識を改める出来事に遭遇するたびに「事業の最下流を担う機能の役割とは?」を立ち止まって再考してきた。
縁の下で上屋を支える・人間に例えれば下半身にあたる、、、はさんざん言いまわしてきた言葉だが、流れを引き継いで淀みなく海へと送り出すように努める、という表現も心の中で復唱しなければならないと思うようになった。
在庫差異や在庫評価や返品再入荷後の処理、、、場合によっては、誤出荷や残荷よりもはるかに重篤な病の生まれる場所となることが多いだけでなく、他部門の都合や事情や要望が強く作用した奇形物や異物の成れの果てをいくつも見てきたので、ホウベンには要注意という念が刷込まれてしまった。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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