物流よもやま話 Blog

わかりにくいものは廃れてゆく

カテゴリ: 実態

三年前に書いたハナシの中に以下のような行がある。
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わかりにくいものは支持されない、、、つまり単純平易で簡潔な仕組や説明が物販やサービスの世界ではあたりまえとなって久しい。
では物流業界ははたしてわかりやすいと認知されているのだろうか?
私見としては「あきらかに否」である。その理由は以下のとおりだ。

わかりにくい業界用語。
わかりにくい見積項目。
わかりにくい業務単価。
わかいにくい想定数値。
わかりにくい見積説明。

わかりにくい=比較しにくい=意思決定しにくい、となるのではないか。
ゆえにいつまでたっても異物扱いされそうだと思えてしかたないし、かかわる荷主企業の部署も社内で異物のような印象を持たれているのではないかと勘ぐってしまう。
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上記は、
旧態依然とした営業スタイルの衰退と見積作法の「冗長でもったい付け過ぎ」の滑稽さや時代に取り残されているのに気づかないわが業界の内向自閉体質――を嘆き、他業界との温度差や常識の共通化を徹底しなければ、いつまでたっても「ゴマメ」扱いされる。
という中身なのだが、未だにそのまま嘆いてしまいそうな今日この頃である。

毒を以て毒を制すになるのかも、、、と独り言をつぶやきながら書いているが、物流コスト見積の共通書式への変換と統一単語による各行説明を叶えてくれるAI搭載の「見積翻訳システム」の登場を願う。見積作法の標準化や見積用語の統一については、拙者ふぜいがワーワー騒いだところで何も変わらんだろうし、説得力や信ぴょう性という点でも大いに足らぬ。
なので強力な説得力を持つ「これぐらいはあたりまえですよ」的圧力を伴ったシステムのはめ込み波動のようなものが、物流業界の門外から到来してほしい。どの道をたどって、どの門を蹴破れば、伏魔殿への最短距離になるのかは不肖ワタクシがアテンドいたす。業界内のもたれあい各位の都合など斟酌無用。躊躇なく蹂躙して固まった地面を耕しなおしてほしい。
というのがこの数年来の切なる願いなのだ。

営業スタイルが見直されれば見積作法が変わる。見積項目の共通化が進めば、単価とその内容の因果が明朗となるし、健全な競争意識が促される。つまり安い高いの理由が明確にされるので、単価設定の合理性が問われる緊張感のもとで営業活動が行われる。特に運送業や営業倉庫においては、真っ当な提案と約束事の厳守を旨とする事業者が日の目を見ることになる。
つまり荷主側からすれば、自社の常用するビジネス用語や一般常識と認知している「ふつうの身構え」のまま、物流業務の外注コストを比較検討できるようになる。

もちろん「現状に不満や不明はない」という荷主事業者も少なくないと承知している。
しかしながら、そのような「うちは大丈夫」と信じて疑っていない物流管理者諸氏にしても、上述した共通化システムが普及したあかつきには、今一度念のために「わが社の外注コストとその内容説明」の試算結果を入手してみればよいかもしれぬ。

皮肉や嫌味の意図は毛頭ないので、くれぐれも誤解なきよう。
念のためにやってみた自社の物流コスト試算値が、現状とは大きく異なる場面に何度も立ち会ってきた身としては、ついついおせっかいなハナシをしたくなるのであります。

【引用元の過去稿】

見積作法と対面営業の移り変わり

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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