物流よもやま話 Blog

多すぎるWEBアンケート

カテゴリ: 実態

今やスマートフォンにインストールした各種アプリを日常生活の利便に用いている方は多いと思う。不肖ワタクシもいくつかのアプリで決済したり、各種会員サービスを受けている。
割引やポイント還元などがてんこ盛りに用意されていて、提供者の意図のままに連鎖購買や期間優待の誘いに肩まで浸かっている状態だ。

元来無精であるし、何よりも競合他社提供の類似アプリの使い分けが苦手なので、常用の決済と特典利用はひとつに絞り込んでいる。かといって、その他アプリケーションをゼロにすることもできず、「邪魔にならないから」といったゆるい理由で画面上には使いもしないであろうアイコンが少なからず存在している。
、、、のような状況はワタクシに限ったことではないと信じて疑わないので、以下のハナシも大いに共感を得られるはずだ、、、たぶん。

それはスマホの画面上に頻繁に現れるポップアップが多すぎんじゃねーか?という他人からすれば、どーでもこーでもよい私的憤慨の件だ。
スマホの設定次第で調整可能とはいえ、ゼロか全かの二択しかやりようがない。ひょとしたらお得な情報が配信されるかもしれない、などの煩悩から解脱できない。なのでメイン以外であっても非表示にしないものがいくつかあるのだが、これがあだになっているようだ。
私の常用するクレジットカードのアプリはやたらアンケートを実施し、回答を求めて配信したおす。これはメーカなどの使用者登録をWEBで行った際にも同様で、放置しておけば結構な数のアンケート配信メールがたまってしまう羽目になる。
謝礼に釣られてひとたび回答しようものなら、サイトによっては次々と新手のアンケートが配信されるし、二度目以降は無料奉仕が基本と思える。
で、あまりにも多いので「配信停止」処理をしてしまう。

高頻度で届くメールマガジンやアンケートメールに困惑や不快を感じていることは事実なのだが、反面「たいしたもんだなぁ」と感心してみたりもする。
システム処理とはいえ、顧客を囲い込むための行動を絶やさぬ努力は素晴らしい。わが物流業界も見倣うべき手法や多様多彩な情報提供力などは、そのまま真似すべきだと痛感している。やや気味が悪いのは、企業としての顔が見えにくい点だが、顧客との対話やヒアリングの場を別に設けることが時流だと聞けば、それ以上の言及は無用となってしまう。

だからといって、アカウント登録さえあれば常軌を逸した数の情報送信が許される風潮には、やはり違和感と当惑を禁じえない。数打てばあたる鉄砲の相場は昔から決まっているはずだが、それをブツブツ言ってもむなしいだけなのか。
結局は自己責任と自己防衛が従来以上に要求される世の中になったのだと割り切るしかないのだろう。私が知るモノの始末や商道徳という言葉が変質してしまったのだとしたら、それは貧しさや卑しさの概念が変わったことと同意ではないのかと嘆きたくなる。
個人の価値観や生活環境の多様化は大いに結構だと思うが、集団として利潤追求する際に、その多彩な個性や個人主義が生み出す周囲との程よい距離感が消失してしまうとするなら、それは一種の社会的な疫病ではないかと憂う。
しかしながら疑うことも立ち止まることもせず、外から自己を視ようとしない集団の台頭は著しい。その手法を採らぬことは市場参加者として未熟であるかのようなノウハウの吹聴はあちらこちらで発言者や出所不明のまま流布している。
そのような風潮の是非は、コロナ禍収束の後すぐに判明するような気がする。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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