行楽の秋。食欲の秋。そしてスポーツの秋、である。
10月10日が体育の日でなくなって久しいが、何年経ってもまったく慣れない。
そういう祝祭日は他にもあるが、「スポーツの日」と改称されたことも相まって、ダントツで「ヘンなの」を感じさせる旗日なのだ。とはいえ、強引な祝祭日移動や新設休日のおかげで連休が増えているのだから多少の違和感ぐらいは我慢するべし、と思っている。
体育の日やらスポーツの日で思いだしたが、聞くところによれば、小学校や中学校の運動会が激しく時間短縮しているのだとか。式次第の種目も減って午前中で終わり。
従って観覧の親族縁者も午後からは他の用事がこなせる。会社にも午前半休か14時頃には出社できる。それは物流関連の事業所でも同様であり、運動会シーズンになれば社員だけでなくパート従業員も運動会半休の申請が増える。
ついでに書くが、以前なら土日祝祭日開催だった学校行事の多くが平日に移行しているのだとか。教職員の労務管理上やむを得ないという事情は理解できるし、異議なしでもあるが、平日行事の場合、私なら間違いなく半休ではなく全休にするにちがいない。
なんなら子供の忘れ物を届けに行った場合でも、その日は全休にしてしまいそうだ。
「せっかく堂々と一日休めるのに、昼から会社に行くなんて、、、」
という有給乞食の発想が抜けない不届き者の戯言は無視してください。
憂いなのか諦めなのかは自分でもはっきりしないが、運動会や文化祭などの学校行事が簡略化されつつあり、やがて廃れてしまうのではないかという気がする。
親も教師も「なくてはならない」という感じからはほど遠いようだし、従来の発表会的なイベントの存在意義や教育的価値の軽重が問われているのかもしれない。
実は物流業界でも発表会的イベントは減少の一途である。
倉庫内での各種業務統計の優秀者表彰やドライバーズコンテストなどは、ひと昔前に比して激減しているだけでなく開催規模が縮小している。
何よりも参加者の意気が盛り上がらない。
「みんなやる気満々で、楽しみにしている」や「かつてないほどの盛り上がりだった」などの言葉は、経営層の独りよがりかその腰ぎんちゃく連中の茶坊主言葉、というハナシは今さら書くまでもないことだろう。
事業所単位での評価競争はもとより、個人成績の順位付けに関心を持てぬ従業員は多い。
有能な人材ほどその傾向が強いと感じている。
世の中の空気は、強制や説教的説得が禁忌化されているので、組織トップや管理層は号令の時点でつまづいているのだが、本人たちは気付いていないし誰も指摘しない。
なので全体目標に向けて皆で一丸となるためのスタートラインに着く時点で足並みが乱れふらつき、場合によってはこけてしまうのだ。
それは休日利用のイベント参加者が集まりにくかったり、終業後の余興や親睦会にも基本的には不参加、という従業員の比率が高まりつつある現状と根は同じなのだろう。
さらには会社からの補助金や協賛金的な福利厚生費が削減や廃止となっている事情も重なって、「個人の時間とお金をかけてまで参加するのはちょっと」となる。
学校の運動会が時間短縮される。
しかも騎馬戦や棒倒しや組体操は危険なので廃止。
競走は順位付けではなく、参加健闘に意義を。
というのが今時の運動会事情なのだとか。
なんだかイケナイことを書きそうなので、これで止めておいた方がよさそうだ。
昭和の小学生でよかった。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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