テレワーク主流のまま平日は五輪をテレビ観戦、週末は行楽地というパターンが世間では多いのだとか。そのせいか、まるで国内全体が夏季休暇期間であるかのような空気が流れている。
私の場合、強烈な熱暑の日中は屋外での行動を最小限にとどめ、近場での用足し以外は弱めのクーラーをかけて部屋でテレワークして過ごすようにしている。
現場職なら空調の有無によって業務のこなし方や管理が大きく異なるだろうし、業務時間自体を早朝や夕方以降にずらすのも対処策として必要かと思う。
くれぐれもご無理なきよう、と願うばかりだ。
※似たようなハナシを下記のとおり寄稿しているので、ご興味があればお読みください。
関与先やその他取引企業でもなんとなく動きが鈍くなっているような気がする。
赤道直下の国々で暮らす人々が、休憩多くゆっくりとした動きで万事行うわけが体感として理解できるようになったこの数年。
あくまで個人的な感覚に過ぎないが、憲法記念日から文化の日あたりまでの半年間は「夏季」とすることが実態に即していると思っている。そして秋を実感できないまま冬になるのだが、いかんせんあまり寒くない。したがって正月に銀杏が鮮やかに彩り、長く分厚いコートは何年も羽織らないままクローゼットの中にしまい込まれている――というようなことを毎年繰り返しつつ過ごすうちに、今やあるかどうかすらよくわからなくなってしまった「春」がやってくる。それを満喫しようと花見やらその他行楽を計画していると、突然夏日が続いて半袖と日傘が必要な初夏の様相になってみたり。
もはや温帯ではなく、亜熱帯なのだとしか思えず、四季を感じようとする心情はむなしい諦めに行き着くことが常だ。
こうなってくると、今までは一部の自社物流を除いてほぼ無いに近かった庫内空調の検討と導入が喫緊の課題となる倉庫建屋は多いはずだ。
導入とランニングの両コストが普及の妨げとなってきたのは周知のとおりとはいえ、現状の夏季気候では算盤はじいての躊躇は労務上のリスクとして無視できない。ゆえに、無い袖を振るがごとく、予算を無理やりねん出しての設備導入が盛んになっているようだ。
物件によって差異の幅は大きいにしても、5m超の天井高なら500坪あたりで2000万円前後の設置費用が相場とされている大型空調設備。確かに導入すれば相当の快適さを得られるし、当然ながら労働環境は劇的に改善し、業務効率も落ちることなく維持できる。
しかしあくまでその効用は労働環境と最低限の効率維持をもって十分とするべきで、費用対効果の「効果」に投資額の回収期間などを加える愚はくれぐれも避けていただきたい。空調のおかげで維持できた業務効率を時給換算から合計して分母に、総額を分子においてやれば、その解は絶望的な数値となること間違いない。あくまでも労働環境改善と生理的健常性の維持をもって目的のすべてとするべきなのだと老婆心ながら言い添えておく次第だ。
倉庫業には空調コストが必須不可避なものとなっていることを、関係者は今一度認識する必要がある。
給水や高頻度の休憩だけでは対処として不十分となってしまった熱暑対策。予算の問題が理屈や建前どおりには運ばないことは承知しているが、それでもあえて強弁しておきたい。
劣悪な庫内環境を放置することは、経営の大きなリスクなのだと断言しておく。
真夏のテレワークや家事に空調が欠かせないものであることを想えば、「職場も同じように」はエライ方からそうでない方まで等しく同感するところではないだろうか。
これを書いている今は午前6時前。
室内気温は28℃。開け放った窓からは微風が流れ込み、ジャンゴ(クマゼミのこと)の大合唱が聴こえてくる。
このまま扇風機君とともに終日過ごせたら、夏の風情を感じながらのなかなかよろしいテレワーク環境となるのだろうが、そうはゆかぬのが昨今なのだ。
毎時1℃ずつ外気は上昇し、午後を待たずに35℃近くに達する。
締め切った密室でエアコンの自動運転に身をゆだねての机仕事や打ち合わせの日常が今朝も始まろうとしている。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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