
近年の傾向として物流施設の敷地内に樹木を植えたり、花壇を設けたりしなくなっている。
主たる理由はふたつ。
・防火防犯の問題
・維持管理の問題
が一般的だが、それら理由による植栽等の要・不要の是非については、事業者によって大きな違いがあるようだ。
私が直接かかわったり見聞きした実例に加え、ゼネコンやディベロッパーの開発責任者から聞いたハナシを要約すると「修繕せずに撤去」という選択をする事業者が多い。
具体的には「建屋に掲げている大型看板の撤去」「立派で巨大な正門構えを撤去して簡素化」「植栽の減数」「敷地内余暇設備の撤去」など、挙げだせば結構な数になる。
特に緩衝材についてはEC興隆で資材市場拡大の今となっても迷走状態か改善停滞状態のままという現場が多い。簡易包装・梱包の掛け声盛んで、実施も進んでいるものの、受領者がいざ開梱してみれば「とにかくズレないように・偏らないように・カドあて・へこみなどがないように」とこれでもかっ!ぐらい緩衝材が詰め込まれている。
しかしながらこの数年来は「現場での食中毒もしくはそれと疑わしい事例」が、もはや看過できない状況になっている。社食や弁当類の別はあれど急増していることは明らか。
「原因は尋常ではない高温」に違いないとはいえ、対処できること・対処できないことの実態と事情のばらつきが大きいゆえになかなか抜本的な改善ができていないと聞く。
売手市場となって久しい労働力の需給バランス。
物流業界はとりわけ、、、と感じて止まぬのは今に始まったことではない。
社内異動ではまかなえぬ人材供給を中途採用で間に合わせようとするが、提示する年収は渋いまま――そりゃ有能な人材が採れんわな、という傾向が未だ続いているからだ。
被災時の初動の第一は人間の避難であり、物品や設備の保護保全は二の次である。
命あっての物種を疑わぬにしても、命があったその後の日常を想うと、我われのような物流屋が「天災ゆえに不可抗力、、とはいえ最少の被害で」と願い画策するのは当然である。
既存建屋の立地について〇×を付けたとしても、移転や建替えが叶うわけではない事業者がほとんどであるのなら、結局は対処療法的措置とならざるを得ない。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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