大型トラックの中長距離便では女性ドライバーの数が増加している。
そして遅ればせながらも若い男性の運転手をよく目にするようになってきている。
と感じているのは私だけはないようで、関与先に出入りしている現役ドライバー諸氏に確認してみた結果、「若い人の入社が目立つようになってきている」とのことだった。
しかしながら、事態の本質は物流現場に通じるのではないかと思う。
どこの会社にも破損し続ける「ビン飲料のようなモノ」はあるだろうし、歴代役職者が黙認黙殺し続けて久しい「のようなモノ」が脳裏に浮かんでいるのは今これを読んでいる貴方に限ったハナシではないと不肖ワタクシは思っているのであります。
中高年から前期高齢者(もはやこの呼称自体が奇異に聞こえる)となる65歳あたりのゾーンをいかに戦力化するかは、自動化・機械化の普及と表裏一体となるはずという意でもある。
作業方向が一方通行で登録済み定型データの認識が原則の自動作業や自動識別には、それ以外のイレギュラー作業、目視や触感による判別業務をすくい取って捌く補完機能が不可欠だ。
企業動向の変遷は、物流現場にも少なからず波及して然りである。
ただし「今さらかいな」と現場人たちが苦笑交じりになるのは「貸与物と支給物の明確な線引きと管理」についての社内規則や注意書きが大仰に掲示される場面だと思う。
在庫管理と備品管理が業務品質として徹底されている物流倉庫内では、会社からの貸与品紛失≒出荷物への混入=受領者からのクレームもしくは不信、となる可能性が非常に高い。
ゆえに常日頃から作業に必要な備品類の管理は徹底されている。
顧客理解が得られるなら「全部止める」が最善と判じる次第だが、時給や日給で働くスタッフにとっては必ずしも肯けないかもしれない。月の約3分の一が休みになるということは、収入もそれに準じて減るわけだから、生活収支に影響大であることは推して知れる。有給扱いの長期休暇を堂々と取れるような現場はまだまだ少ない――正規・非正規の別なくだ。
廉価請負×長期拘束の連鎖で「大工は若者が忌避する職業の最たるもの」に追いやった張本人とされているハウスメーカー各社は、今となって慌てふためいて職人養成に力を入れていると聞く。価格競争のしわを下請けに寄せ続けた成れの果てというわけだ。
どっかで聞いたことがあるようなハナシである。
次は物流屋の番か。
なんていうつぶやきを押しとどめている今である。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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