物流よもやま話 Blog

二季の国の物流作法

カテゴリ: 予測

いきなり初夏になった先週末だったが、もはや驚かん。
なんていうセリフをつぶやくのは例年化しているが、やはりうらめしい。
春と秋はひたすらに縮み続け、冬は横暴化し、夏の領域が拡がるばかりの近年。若い頃は「暑いより寒い方がマシ」とかなんとかほざいていたが、いまや暑気も寒気も辛いのだ。
天気も景気も穏やかなのが最善だと感じるこの頃であります。

ワタクシの愚痴はどーでもよいが、クソアツイかクソサムイの両極に振れがちな近年の気象変動は、庫内業務や輸送管理に進捗障害やコスト増加をもたらしている。
まず第一に現場生産性への悪影響。
次に水道光熱費と車両燃料費の上昇、、、これに加えて各種値上がのしかかる。
さらには従業員の体調不良による欠勤や遅刻早退の増加も看過できない。

先週はミゾレが降っていたのに今週はいきなり夏日、、、にも「またか」という程度。
そこから半年ぐらい経つと、寒暖を逆にしただけの似たような気温変化に翻弄される。
尋常ではない熱気とヒステリック豪雨の夏季。
急速低温化といきなりのドカ雪に見舞われる冬季。
二つの季節しかなくなりつつあるわが国。

物流屋は気候変動による交通障害に振り回されながらも、なんとか荷を動かさねばならない。
言うまでもなく、庫内も車両も人がいなければ稼働できない。
機械化や自動化は「無人ではない」という前提で設計されているから、オペレーションに不可欠な人員が欠ければ道理としてイロハのイが始められぬ。機械やシステムは「切り替え」「新規情報」「イレギュラー」への適宜対応が苦手であるし、勝手に判断させないように制御されているはず。つまり人間様出勤不能状態=機械クン不稼働となって当然なのだ。

以前から何度となく発言しているが、夏季と冬季の激烈気象には抗ったり往なそうとせず、ひたすらに「おさまるか過ぎ去るのを待つ」が最善であると思っている。
「なんとかしよう」が奏功した事例は皆無と承知しているし、むしろ天災や自然現象に挑んだ人間の不遜や身の程知らずが招いた悲惨さのほうが目立つ。
少し引いて世間を眺めてみたり歴史を読めばあきらかだが、結果としてはプロジェクトよりもプロジェクト×(バツ)のほうがはるかに多く、場合によっては命の危険にまで及ぶ。
ゆえに荒天時や災害時には「止める」ことこそが最重要であるし、それこそがもっとも簡易迅速で確実に実行できる対処策であることなど誰にでも理解できるはずだ。

今の国内物流で一刻を争う実需がどれほどあるのだろうかと考えてみるが、医療や一部食品以外で「即日」や「翌日」でなければ社会的公共的人道的によろしくないと判じられる物流など皆無に等しいはずだ、、、というのが実感であり、間違っていないと信じている。
つまり一日や二日遅れようが止まろうが世の中の大事とはならないし、無いなら無い・足らぬなら足らぬなりに我慢や代替でやり過ごせる事物がほとんどではないかと思っている。

無理と無謀は違う。
愚直や勤勉は平常時の美徳であって、時と場合によっては不徳となる。
動くことよりも動かないことのほうが失うもの少ない時もある。

とブツブツ言いつつ、穏やかな朝間詰に短い春を感じている今であります。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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