戦争と値上は早く終われ。
と念じ続けている今日この頃なのだが、願いむなしく事態はいっこうに収まりそうもない。
日銀が金利を上げて、米国の新政権がドル安誘導・保護貿易策を始めたら、わが国経済は相当な打撃を被りそう、、、と案じるばかりのわが身であります。
ちなみに第一次トランプ政権時の平均為替は$1≒¥108だったとのこと。
現在に当てはめれば単純計算で輸出時の純利が約3割減じることになる。
タイヘンどころか壊滅的打撃となる事業者も少なくないと思える。
そもそも利潤目途の輸出は成り立たんのではないか。
貿易相手に為替差損分のいくばくかを転嫁値上できるのか?
「まずは我慢から」が大好きな日本企業にはできんだろうなぁ。
あくまでタラレバのハナシとはいえ、ちょっと嫌な感じであります。
現実逃避してしまいそうだが、経済政策の基本方針は日銀と政府に舵取りを委ねるほかない。
内閣と官僚諸氏に対する批判ばかりではなく期待応援の声も送ろうではないか。内輪揉めや悪口合戦なんかやってる場合ではないのだ。
いまや人材と企業の国外流出に拍車がかかって止まず、トヨタをはじめとする「日本ブランド」の大多数は、国内市場に対して一定の見限りをもって経営している。
決算利益にたいして寄与しない日本市場は二の次に置いて、海外市場を優先厚遇するのは至極真っ当な判断である――という実態はここで書くまでもないハナシだろう。
結果、内需は縮小の一途となり、消費はそれに準じるのだから、消費の子たる物流市場が縮小と下降の一途となるのは道理だ。
以前から書いたり話したりしているとおり「どうする?物流業界」への解を物流人たちは出さねばならぬ。物流を機能にとどめず、事業化する方策や需要掘り起こしに努めることは喫緊の課題として即取り組むべきだ。
特に少子高齢化の波をもろに被って溺れそうな地方自治体こそ、ふるさと納税一辺倒の「わが町の事業」をもう一工夫して多面化する必要がある。
本ブログ内外の拙著過去記事にあるとおり、物流の事業化は地味で大きな利益にはならないが、住民生活のインフラ維持効果もあって、自治体運営になじみよいと考えている。
ご興味ある方は是非ご連絡のほどを。個人としても企業としても自治体存続と官民協業は取り組むべき重要事項だと思うし、やりがいも十二分にあるはずだ。
前段が長くなってしまったが、諸般の事情から物流業務の多様化や弾力化を進めてゆくと、まわりまわって「ヒルヤスミのモンダイ」に突き当たること必至なのだ。
ゆえに些末時と切り捨てたりせず、そこそこかまぁまぁエライ方々もご一考願いたい。
税制や社会保障負担の改変に伴い、非正規従業員の労働時間に変化が表れ始めている。
主として「働く時間の長さ」「働く時間帯」のふたつが多様化しつつあるが、それは使用者側の順応があってのハナシゆえ、労使双方の意識や認識が同調しているともいえる。
裏を返せば、環境変化に呼応した労使協調が整わないまま存えている現場は、遠からず労働力が流出したり確保に困難が付きまとうことになると言い換えてもよいだろう。
・5時間または6時間通し労働(休憩なし)の拡がり
・かたやで所得制限なしの非正規労働者増加
このふたつの傾向は当面強まるばかり。
となると、物流現場に「休憩・昼休あり」と「「休憩等一切なし」のパートアルバイト従業員が混在することになる。それはそれでなんらモンダイはない。
ここで問うているのは管理者側が休憩の有無が異なる就業スタイルの従業員に手待ちや不効率を排した作業分担を提供できるか否かである。
たとえば休憩中の従業員が休憩なしの従業員に話しかけ、それに返答して、、、つまり実質的には作業しつつも休憩状態に近い手数や脚数しかこなせていない――のような弊害ともいえる現象がすでに数多い現場で発生している。
「働いている人に話しかけちゃだめだぞ」
なんていう声掛けをしながら現場を巡回する管理職の姿など想像したくないし、傍から眺めれば滑稽でしかない。「ヒルヤスミは庫内巡回の時間」という管理者の在り方自体が奇妙だし、当事者自身も「なんだかなぁ」と天を仰ぐことだろう。
勤務時間内の休憩の有無を並立させるには、作業の割り振りの工夫と機転、さらには当日の業務量と内容の予測確度が必要だが、これがなかなか難しくやっかいなのだ。
かといって作業を縦割(個人別に終始完結型)にすると、時間をかけて推進してきた多能工化との折り合いがつかなくなってしまいそう、、、のような矛盾に突き当たったり。
販路別に業務フロー・作業手順が分離しているなら、作業直列型(拙著「並列と直列」ご参照)のなかで多能工として完結可能となりそうだが、そうなると全体最適という観点で不合格となりそうだ。そもそも多能工の本来的意義は「現場の各作業の別なくこなせる人材」に他ならぬので、販路別直列作業に限定した時点で不完全な多能工化となってしまう。
もちろん「他所のことなどどーでもよい。うちはこれでいいのだ」とバカボンパパのように責任者が肯けるのなら、ワタクシ的には異議異論を口にする気などマッタクない。
かように休憩や昼休のモンダイは、作業者の配置や業務割振りに直結すること多しなのだ。
管理者諸氏にはひとひねりいただきたいところであります。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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