物流よもやま話 Blog

春のやっかい事

カテゴリ: 余談

新年を迎え、企業も社員も心機一転元気ハツラツ、、、のようなハナシはまったく聞こえてこないが、読者諸氏の周囲ではいかがなのだろうか。
国外では戦争やら政情不安定やら強国の保護主義化や右傾化、国内では物価の五月雨式値上と高止まりやら――我慢強い日本人とはいえ、さすがに泣きが入りそうであります。

泣きが入るといえば、そろそろ展示会シーズンの幕明けとなる時候に気が滅入るワタクシ。
丁寧にお誘いを断るのはひと手間ひと苦労であるし、ひたすらに「すみません」「ご厚意はありがたいのですが」を枕詞において「今回は見送りとさせて…」「せっかくですが遠慮させていただきます」などの不毛としか言いようがないやり取りには辟易してしまう。
間違えても、
「そんなしょーもないモン誰が行くかぁ」
「毎回似たような出し物と似たような顔ぶれで内輪盛り上がりは滑稽でっせ」
「入場料タダの上に仕事してる風が装えるのでどいつもこいつも参加しがち」
…のように毒を吐いたり悪口を言ったりしてはいけません。

業界内外の展示会について感じることは、
「対処策ばかりで根本的な解決には無力な道具だらけ」
「誰に何を訴求すればよいのか判らなくなっている企業が多い」
という点である。
特に機械化・自動化やAIを安直に取り扱い始めたこの数年来は顕著になっている。
上滑りでペランペランな合理化はすぐに安メッキがはがれるだろうし、デフォルメされた作業局面の切り取りを「典型」や「通常」とした前提条件の上に語られる正論が目立つ。
ただ単に現場を知らないか、知ってはいるが営業優先で実態を曲げたり隠したりしているか。
ひょっとしたら現場に興味がない経営層向けに訴えかけることだけに特化した仕掛けなのか。

いずれにしてもサービス化や製品化の前段で論外なので、展示会に数度出展して消えてゆく。
外野ではやし立てていたガヤガヤメディアも内心で「ダメだこりゃ。次いってみよう」と見切りをつけ、さんざん推薦や推奨したその舌の根が乾かぬ間に真反対のハナシを分別顔で始めるのが常だ。展示会ではそのような残骸やその候補が眼についてしまい気が滅入る。
なので極力避けるようにしている。

お祭りごとや催し好きの方々の悪口を吐くつもりはさらさらないが、自分自身が巻き込まれるのは勘弁願いたいと思っている。
少なからず講師やパネラーを務めてきた身ゆえあえて言うのだが、展示会やセミナーは実務に有用な知識を学ぶ場ではないし、お得な何かを獲る場でもない。
ただ単に「自分自身を喚起させるための刺激を受ける場」でしかない。

日常とは異なる場所で、常態とは異なる場面設定や未知の情報に接することで、脳が刺激され「自分も頑張らねば」という意欲増大に繋がるかもしれない。
それは受験生が模試を受けることで得られる最大の効用に似ている。
同じ境遇の数多い他者と机を並べて試験を受けることによって、親や教師からの叱咤激励とは異質の努力喚起や競争・同士意識といった別種別格の刺激が眼から耳から入ってくる。
社会人になっても似たような心の動きは学生時と同じように起こるし、本能的にそれを求める嗅覚のような機能が働いて展示会などに足が向くのかもしれない。
くれぐれも自覚しておくべきは、「模試を受けても学力は上がらない」のと同様にセミナーや展示会参加は仕事力向上に直接寄与するものではないという点だ。

という他人様のハナシは置いといて、、、この先数か月は面倒くさいこと多しである。
年々酷くなるばかりの面倒くさい病。
みなさまは罹患せぬようお気をつけあれ。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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