物流よもやま話 Blog

形状識別と重量測定とRFIDと(上)

カテゴリ: 予測

物流分野でのRFID普及の動きがタイヘン鈍いと感じている。
真面目に探せば公の統計があるのかもしれないが、その手の数値よりも業界の当事者から聴き取った情報のほうを優先してしまう。そもそも行政による予測もしくは目標値設定がなされていたのかすら知らない。
なので「RFIDはなかなか流行んねぇな~」というつぶやきは、公的資料や業界団体の統計値などを踏まえたものではなく、単なる感想に過ぎないので、あしからずご了解のほどを。

RFIDを推す理由は、ひとえに「物流現場で重宝だから」といういくつかの特性によるもので、それを「偏向気味でイマイチ説得力に欠ける」と揶揄されれば、甘んじて認める。
さらに、必ずしも他部門の業務に利点があるとは限らないことも認める。
どっちかと言えば「そんなもん要らん」と切捨てられることのほうが多そうだ。
つまり「全社挙げて」にするには必要十分でなく、その割には手間とコストと時間がかかる。なので物流部門起案で導入と予算化を図る際には、相当の説得力をもった趣意書や費用対効果を証する試算表が必要とされるのが常だ。

ご存じの方々も多いと思うが、感知装置の市場規模は右肩上がりで膨張拡大してゆくだろう。
先進国の多くでは少子高齢化による省人化需要への対応策として、が第一義に挙げられているが、実は属人業務や単純作業への人件費支出を抑制する効果を主旨とする内実のほうがはるかに多い。それはわが国においても同様で、昨今の労務順法厳密化による人件費高止まりなどは基調としてゆるぎないだろうし、その対策として、、、のほうがわかりいい。

では「感知」する装置の対象として圧倒的比率を占めているのは何か。
それはまず第一に「ヒト」であり、そのヒトがモノに対して何らかの行動や作用を加える際に二次的な感知機能が必要となる。消費行動と大雑把に括ってもいいかもしれない。

たとえば無人コンビニの社会実験などは感知機能の有用性を実証するに好適で、生活関連インフラの意味合いからも万人の利便を増加させる結果が期待できる。
そのような「感知」の道具のひとつとしてRFIDは有望視されているわけだが、世の中を見渡せば、かなり分が悪くなっている。つまり普及しづらいということだ。
そうなると関与するサプライヤーの参入が鈍化し、競争原理が作用せず、導入コストが下がりにくい。また汎用性が上がらないので、使用側のカスタマイズ負担が多いままで推移する。
結果として共通化や一般化が遠のく。
という悪循環に陥りそうな気配を払拭したいと願う不肖ワタクシなのであります。

生産現場から流通過程、そして最終の消費現場における圧倒的優位な感知装置は「形状識別」であり、小売り場面ではそれに「重量測定」が加わって、精度の満点化を目指している。
生体もしくはIDツールによる認証で入店者とその決済情報への紐づけが瞬時になされる。
入店者は棚から欲しいモノを手に取ったり、マイバッグに入れて出口を抜ければ、その瞬間に購買完了となっている。購買品の情報は多方向からの店内カメラによる形状識別と、陳列棚の重量変化による個数カウントにより、ダブルチェックがなされるので、誤識別による計算間違いの発生確率は限りなくゼロに近づく、、、というのがデモとして映像化されている。
実際の店舗で混雑時に多数による頻繁な棚戻しなどが続いたら?などの検証はどうなっているのだろう、とかいう素人疑問にもすでに答えが用意されているのかもしれない。

現状では倉庫内作業の要件を満たすに不十分な形状識別だが、今後の技術革新による実用化の可能性は大いに見込めそうなことは疑いようもない。
個人的には「ハイブリッド感知システム」的な仕掛けが好適ではないかと考えている。
つまり形状・重量識別にRFIDが併用できれば、ロボットや自動機械設備のない自動倉庫に似た仕組が設計できそうだと見込んでいる。ただし、コスト面や業務環境の要件定義にはさらに踏み込んだ検証が必要となるので、継続審議案件である。

画像や重量による感知だけでは、、、、、

なんだか長くなりそうである。
つい最近もこの手のハナシを関与先でしたばかりなので、ついつい熱が。
というわけで、今回はここまで。
続きは来週に、、、となるのかなぁ。(上)とか付けちゃってるけど。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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