またもや3連休、という読者の方も多かったであろう前週。
今年のカレンダーを見返してみれば、1月・5月・8月・12月以外で3連休や狭間の平日に有給取得すれば4連休となったケースが6月を除くすべての月である。残る10月と11月も同様だ。
国策として連休を増やしているのは承知している。しかしながら新卒時にはまだ隔週週休2日があたりまえだった最後の昭和世代としては隔世の感を禁じえない。
収入が横ばいでも、休みが多いのは実質的な昇給。しかも昨今の労務順法の厳格化によって、サービス残業は禁忌とされるようになった。
「これであたりまえ」と書かねばならぬのは重々理解しているものの「日本はずいぶん大人の国になってきたのだな」というのが素直な実感でもある。
可処分時間が増えるのは好ましい。
今以上に個々の内心的満足の多様化は拡がり深化するに違いない。
現役世代は外向き意識はほどほどに抑え、積極的内向化のひとときをお過ごしになればよいのではないかと老婆心ながらもおススメしておく。
かたやで上記のような他人ごとですまぬのが、余暇の拡大=物販の停滞低迷、である。
少子高齢化による消費縮小は基調として変えようがないにしても、可処分時間の増大は衣食住の三大消費要素を根源から変質させるという副作用には注意が必要だ。
「モノをたくさん買うより、時間の過ごし方にコストや手間をかけたい」という意識や動機の大きな流れが速まり強まり拡がる。
従来から長期休暇期間にはモノが売れないと言われてきたし、実際に大型連休明けの出荷量は身構えた割には少ないというのが常だった。今後はその傾向がより強まる。
ゆえに現場の人員配置に調整や修正を強いられることになる。
その条件変更を吉とするか凶とするかは事業者次第であるし、現場管理者の機転と機敏さによって出目が大きく変わってくるはずだ。まさに「うでのみせどころ」となる。
かねてから労働人口減に過剰反応する論調には疑問を投げかけてきたが、その根拠は「人が減り、労働力が減る。つまり購買力も減るし、購買量も減る。なので仕事量も減る」という単純な因果である。
そして上述のとおり個々人の可処分時間が増加傾向にあるので、物流所用時間の拡大は許容されやすくなる。
荷量が減って、許容時間が増えるのだから、一日当たりの仕事量が抑えられる。
ということは必要人員数も抑えられる。もしくは体力的要因で作業効率が若年層に比して低くなりがちな高齢者層の雇用がしやすくもなる。
しかも中高年層に比して低い時給でも喜んで就業してくれる人材が一定比率いるのだから、労使双方にとって利点が多い。
あとはひとえに管理者の腕前次第だ。
業務フロー設計と作業手順の出来・不出来が働く者の属性や個性の活用を左右する。日計・週計・月計の帳尻合わせをいかに整えるかは、現場スタッフの動かし方で大勢が決まる。
物流業務は引き算、という教科書どおりの鉄則を忘れなければ結果はついてくる。
「やらなければならないに決まっている」と誰もが疑っていないが、本当なのか?
「これをやらなければ何が起こるのか?」の現場検証を全部やる。
この2行を念仏のように唱えつつ、業務フローと作業手順と現場レイアウトを何度も何度も見直してみてはいかがでしょうか。まずは「アタリマエ」を疑ってみてください。
と、懲りず諦めず言い続けるのが私の日常であり仕事なのです。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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