物流よもやま話 Blog

どうダメなのか?

カテゴリ: 本質

どの会社でも出荷は気忙しい。
時として現場は火事場・鉄火場・修羅場になったりする。
そうならないように各社心がけてはいるものの、決してゼロにはならない。
注文者への納品は最優先業務。しかもその営業活動の仕上げ。
終わりよくなければ全てよくない。

大波の到来はどこの誰が受けても、時間や処理能力という制限がある限り、タイヘンな状況になる。追い込まれて苦しいし、ミスや未出荷の恐怖から現場管理者は切羽詰る。

まぁ、しかし、、、
それはそれでいいのではないだろうか。

物流会社やコンサルは、そんな状況を回避するためにも物流の仕組を変えましょうと言う。
業務の波動を小さくすることに異議なしだ。
あらゆる点で好ましい。
しかし、物流以外の他部門でも似たような状況は起こる。
予想外の業務波動なんて、会社の中ではあちこちで起こっている。
物流部門だけに見舞うわけでもないのに、大騒ぎするのはいかがなのものか。
他部門からすれば「予想やら予定が狂ったぐらいでギャーギャー言うな。客商売なんだから先様の都合で増減や急変するのは当たり前のことだ」と呆れられそうだ。
毎度毎回毎月毎週のように、切羽詰まったり恐怖を感じるのは「能力と意識と何よりも想像力が不足しているだけ」という評価にも及びかねない。

顧客起因のイレギュラーやトラブルにはどの部門でもその都度対処するが、理想的な、、、つまりは自社に都合のよい仕組や段取を押通すことは難しい。
物流部門だけが例外扱いされる理由は社内のどこにもない。
あまり駄々をこねると、物流は「ごまめ」扱いとなり、部門としてではなく補助機能としての扱いしかされなくなる。
企業内で大人の会話がなりたたず、顧客という絶対価値を理解できないという烙印を押されてしまう。

ここで、今一度考えなければならない。
破綻するほどの波動があるのか?
繁忙閑散は悪であるのだろうか?
という「今さらそんなこと」と深掘りしないまま放置されがちな前提となる事実をだ。

数値から追えば、理想的な業務分散や繁閑差の分析と対処は描ける。
現状を否定するという前提条件は、一見前向きで健全な響きを含んでいる。
しかし、はたしてそんなに酷い現状なのだろうか?

全部ダメなのか。
一部ダメなのか。
一部というならどこがダメなのか。
それはどうダメなのか。
どうダメかを数値や具体例で説明できるのか。
どんな数値になり、どんな結果なればよいのかを文字に出来ているのか。
その目標数値や設定結果は、身の丈にあったものであるのか。

そこまで考えて「ダメ」を出すなら、解決は必ず出来る。

自社の問題を検証し具体的な改善を試みるということは、自社の限界をきちんと理解し認めることと同義。
己を知った上で外部者に相談・依頼するのであれば、必ず良い効果が生まれる。

社内で「ダメ」を出し、謙虚真摯に取組む企業には、「ダメ」にならない未来が約束されていると信じる。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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