時間や体力が許す限り、遠方への移動には空路ではなく陸路を利用するようにしている。出張やら私的な旅行などぜーんぶひっくるめ、まさしく公私の別なくだ。
何度乗っても飛行機には慣れない。とりわけ離着陸時は緊張が過ぎて疲れてしまう。短時間で目的地に着くのはありがたいが、それを上回るドキドキ嫌悪感のお釣りが大きいのだ。
新幹線特有の「膨張した空気の底を這うような超微細音」が鼓膜に障るのは毎度心地悪いにしても、空中移動よりはるかにマシなので、我慢して利用している。
で、耳障りな微細音から気を紛らわすために心がけていることといえば、「眠る」がもっとも簡易で誰しもが頷くところ、、、とはならないか。
「それはアンタだけじゃ」とツッコまれそうである。そういえば移動時間中もPCなどの端末相手に仕事している人は多い。ぐうたらな拙者にはとうてい真似できないことなので、こうやって書いていても選択肢として思い浮かばない。
その他新聞や雑誌やデジタル端末で漫画や小説などを楽しんだりと、それぞれの定番化した過ごし方があるように思う。
ちなみに最近のワタクシの好みは「じゃりン子チエ(文庫版)を往復それぞれで一巻読む」である。いまや東京出張時のルーティンとなっている。
ちなみの二番目としては、読んでいない時間はうっつらうっつらしている。
ちなみの三番は、じゃりン子チエ全巻を読み切ってしまったら、次はハガレンかのダメか、いやいや20世紀少年か沈黙の艦隊か…などのように迷っている。
(いずれも何度目かの再読。もちろん全巻揃っているのだ)
日帰り、宿泊を問わず、出張時の新幹線往路は朝便、復路は夕方遅くもしくは夜便となることが常だ。読者諸氏も似たようなところではないかと思う。
便の往復を問わず、その時間帯の車内では結構な比率で食事している方がいる。
個人的には車内でモノを飲み食いすることが苦手なので、きわめて稀に飲料を少しだけ口にするだけというのがせいぜいだ。もちろんながら隣席の御仁が何を飲んで何を食っても一向に気にならない。それどころか「美味そうな弁当だなぁ」や「美味そうに食うなぁ」などの内心が顔に出ぬよう寝たふりやじゃりン子チエを熟読している体を装っている。
なので車内販売には無縁なのだ。
まだ酒を呑んでいた頃、連れがいる時なら帰路の車中で「ビールにおつまみ」を買い足したことは何度もあった。もしくは独りながらも疲れほぐしに缶ビール数本を呑んだりもした。
しかしながら数年前に酒をやめたうえに、最近は独りで往復することがほとんどなので、車内販売を呼び止めることは皆無になった。
で、ひたすらにじゃりン子チエを読みふけるか、ボーっとしているか、船を漕ぎつつ浅きゆめみし、、、のような車中なのである。
かように出張時にはそこそこに楽しんでくつろいでいるのだが、新幹線にしても飛行機にしても、駅構内や空港内での混雑や通路標識のややこしさは大の苦手だ。
流れるように目的の場所へ向かう人々には畏敬の念を抱くし、改札を抜けて売店やトイレをそつなくこなす方々に対しては劣等感を強める毎度なのですよ、、、というハナシに賛同や共鳴してくださるドンくさい読者の方はいらっしゃるのだろうか。
ひょっとしてワタクシだけなのか。
という疑念はぬぐい切れないが、まぁいいか。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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