物流よもやま話 Blog

トラックが少なかったGW前半

カテゴリ: 実態

久々に制限のない大型連休真っ只中だが、読者諸氏もそれぞれにお過ごしのはず。
もちろん現場によっては不休であったり、何日かの稼働が必要なことも承知している。海外向け出荷がある拠点なら、日本の祝祭日事情を全部まかり通すことなどできないので、交代休で対応している事業所もあるだろうし、それは当然のことでもある。
苛酷な渋滞耐久移動や混雑行楽地サバイバルゲームのような試練を回避し、閑散とした勤務先周辺で普段よりのんびりと過ごすのも一興、、、という御仁も多いのではないかと思う。

ワタクシは所用あってGW前半は北陸と新潟にいた。事前に見聞きしていたニュースなどで「高速道路はどえらい渋滞」と刷り込まれていたので、やや身構えての出発だった。
しかしながら往路復路ともに、北陸道とそれに並行する幹線道路もガラガラだった。なかでも異様なぐらい少なかったのは中型大型のトラックやトレーラーで、荷主側の調整ありきを勘定に入れても怪訝なほどに寡少と言ってよいほどだった。「はたしていいのか悪いのか、、、」と内心で唸りたくなるような高速道路の光景がGW前半戦の印象である。SA・PAともに空いていたので、職業ドライバーの方々は駐車スペースの確保が容易かったのではないかと思う。

主要高速道路では近年目に見えてシャワーブースやコンビニのあるSAやPAが増えつつある。なので多少ながらもドライバーたちの休憩時環境は上向いているように感じている。
だだし一般道についてはまだ課題山積である。
全国に急増している道の駅などでは物販や遊興施設への注力だけでなく、大型車両向けの駐車スペースの確保にも積極的な投資をお願いしたい。
道の駅本来の設置趣旨「休憩施設と地域振興施設等が一体となった道路施設」に従って、地域振興を織り込みつつ、すべての車両運転者への便宜充実を図っていただきたいと切に願う。

今さら強弁するまでもないが、一般道における大型車両運転者の休憩や食事場所の不足状況は深刻である。業種職種の別以前に、ヒトとしての最低限の生理的欲求さえもろくに満たせない現状から改善してゆかなかれば、労働力不足の根本的解消など夢のまた夢でしかない。トイレ休憩で難民化し、椅子とテーブルに座っての食事すらとれないような仕事をしたいと思う人間などいるはずない――と官民の関係各位は今一度、いや何度でも確認してもらいたい。

環境整備の第一にあるのは「駐車スペースの確保」であることは、大型車両のドライバー本人にヒアリングしてもらえばよい。
俗にいうスーパー銭湯などが、観光バスだけでなく貨物車両まで想定した駐車区画の拡張に積極的に取り組んでいただければ、その効果は圧倒的となるに違いない。
入浴・食事・休憩のすべてが一か所でまかなえる施設こそ、長距離便の大型車両ドライバーが切望するものであり、しかも内容充実でくつろげるのだから願ったり叶ったりである。
「大型車両一台で一人の来場」は施設運営者からすれば不効率かもしれない。
しかし、そのような対応を地道に継続することこそが、回り回って物流インフラの充実と維持への貢献となるとお考えいただき、是歩とも前向きにご検討いただければ幸甚だ。

著者プロフィール

永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。

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