長年抱えている不満であり、同時に大いなる疑問。
それは、天井までの空間を有効利用するための高額ではないネステナー水平移動および昇降機がなぜないのか?である。
イメージを明確にするために言い換えれば、「左右上下に移動するネステナーラック群」という表現がよいかもしれない。
‘それならオートストアに代表される自動ラックがすでにあるではないか’
というご指摘は重々承知したうえで書いている。
しかしながら、私が求めている(私の関与する事業者に必要かつ有効、という意)のは、オートストアの簡易版であり廉価版である。そもそもあんなに賢くなくてよいのだ。AIやらシステムやらデザインやらの云々も完全にオーバースペック。ネコにはコバンではなくゴハンが必要であるし、アナログに毛の生えたような仕組こそがカツオブシになる現場はまだまだ多い。
単純に5.5m以上の天井高を無駄にしないための巨大ジャングルジム、、、一個一個のマス目がネステナーでできていて、かつ個々のネステナーは縦横に動いて位置を変え、指定されたネステナーは最短ルートで床面に降りてくる。用が済んだらそのまま放置しておいてもよいし、次の番号のネステナーを呼べば、勝手に入れ替わってゆく。
というイメージのマテハンが世の中には存在しない--厳密に言えば「どこかの倉庫内には類似設備があるが、独自に製作したものゆえ部外者には無縁の産物」という状態なのだと思う。
蛇足だが特注した完成品の価格を知れば、一気に現実味が失せてゆくかもしれない。
アパレルや自動車・バイク・自転車用品、各種原材料バルクのロット別ストックなどは、その引当もしくは補充頻度によって床面や棚での保管が不要なものが多々ある。
その場合、なるべく積み上げて限りある床面を有効活用したいと思うのは誰しも同じだろう。掲題のような選択肢は保管効率向上と維持の画策の結果であり、容積率が許せば安くない金額でメザニンを張って、オムニを設置している倉庫建屋は多い。
いくつかの量販店にあるようなハイラック&ハイリフトは、素人相手の見世物としては効果絶大だろう。しかしながら荷役実務では、出し入れの煩雑さと作業に伴う危険を回避するための慎重な作業が「高さが生み出す容量による秀でた保管効率」を打ち消してしまう。
前述のとおり最新式の自動ラックはオーバースペックでオーバーコスト。メザニンは容積率と設置コストと複層移動による効率悪化の問題が三重苦のように見舞うので、往々にして現実味がないハナシとなる。
マテハンの専門家連中に訊けばよいのだろうが、おそらくは「高額になる理由の説明」と「できない理由の説明」に終始するだろうから、まったく気が進まない。
で、他業種の製造業の中からいくつか選別して、その製品を応用加工したら、、、なんとなくできそうな気がするモノがいくつかある。物流業界で最新や高度技術などと騒いでいるモノの過半は、他業界では過去のモノだったり、きわめて一般的な普及品だったりするので、井戸から出て周囲を見回すようにしている次第だが、そこから得るものは多い。
中・重量物の昇降や移動なので、設備の定期メンテナンスなどは絶対条件となるのは当然としても、日常業務での面倒や煩雑な手順はほぼ無いはずだ。
単純にストック品の保管効率が良くなり、倉庫容量の有効率が飛躍的に向上する。
さっそくメーカー選定に取り掛からねばならぬが、はたしてとりあってくれるだろうか・・・とにもかくにも試行錯誤するのみだと思っている。
というハナシなのだが、顧客情報守秘が立ちはだかって、具体的で映像的な説明ができない。
その点については申し訳ない限りだが、拙者の立場をご理解願いつつ、具体的な成功事例を続編化できるように励む所存であります。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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